小生がもし月ならば、おそらくあなたが太陽でしょうね
小生を照らす太陽
それはただの普通の人間
……だけど、どこか抜けていて手を離したらすぐ何処かへ行ってしまいそう
それに少し頼りない
でも、月はそんな太陽のことが好き
だいたい小生の本では、実際にあったことを元に書き出していくことが多い
身の回りで起きた事件や出来事
散歩していてすれ違った人の雰囲気など
ちょっとしたことでもネタになっていく
それに最近は特に、
……太陽のおかげだろう
真っ暗で足元すら見えない小生の道を明るい光で照らし、
一緒に歩いてもくれた
そして小生は帝統に手を引かれ中に入っていった
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ーゴッ
鈍い音が教室中に響いた
不気味に聞こえる小生をあざ笑う声
ーどうして
ーどうして、俺だけが………?
ー何も、していないのに
衝撃と目眩で頭はいっぱいになった
ただ痛いだけなのに大量の涙と汗が出てくる
ーおかしい、こんなの……!
喉はかすれ、声なんて出やしなかった
助けてなんて言えなかった
また、さっきよりも鈍い音が響く
ーゴッッ
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頭に大きな衝撃が走った
この痛みは以前に体験したことがあるようだった
疲れがとれなくて重い体をゆっくり起こし、周りを見渡した
それは、いつも見ている自分の家だった
と、いつも無いものが目に入った
置き手紙だった
そこにはけして上手とは言えない字が並んでいた
“店の前に並んでくる 昨日の金借りるな”
こう、書いてあった
朝から姿を見せずに出て行くなんてふられた気分だ
良いものではない
まぁ、そいつに恋なんてしているのは自分の方だ
さすがに自分でも言い返せない
そう言ったって夕方にはお腹を空かせて帰ってくるのだろう
いつものことだ
そう、思ってたのに
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。