第241話

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2021/11/23 10:18

「じゃー、俺らはそろそろ行くか」


イケメン二人が席を立つ。

その途端、窓からの陽の光が二人を照らしてキラキラオーラが撒き散らされる。
パイプ椅子を持って立ち上がっただけなのに。

はうっ!
眩しい!


浅草寺のアレよりもご利益ありそう、浴びなきゃあのキラキラ!


…ふざけている場合ではなかった。

こんな美しい人が二人も、私のためにここまで来てくれたなんて。


「あの…お二人とも、来てくれてありがとうございました」
「いいえー」
「何かあったら連絡しろよ」
「はい」


嬉しかった。
社長と岩本さんが来てくれて、話をしてくれて。

居眠りはしてしまったのは不覚だったけど、ずっと一人で不安だったから。



名残惜しいなあとか思い始めている私。

さっきの寸止めキスを思い出したりして。
こんな時に不謹慎極まりない。


…と思ったら。
社長が急に忘れ物を思い出したように近付いて、耳元で囁く。


「気を付けろ。小島と照以外は信用するな」
「…わかりました」
「照と少し調べてから帰るから。先に寝てろ」
「はい…」


返事をした私の口が、一瞬で塞がれて。

気が付いたら目の前に、いたずらっ子みたいに笑う社長の顔があった。


「隙アリ」
「すすすすきぃー!?」
「いつも気を付けろっつってんのはお前のそういうとこだぞ」
「へっ!?どういうとこ…?」
「モノ欲しそうな顔しやがって」
「…!?」


バレてた!
チューし損ねた、とか思ってたのバレてた!

恥ずかしい!
嬉しいけど!



「だから、反省しろって」って呆れる岩本さんの声が遠くに聞こえて。

小さなぬくもりを残して、社長は書庫を後にした。

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