松村北斗 side
出番直前で雪が会場から消えた。
あとからみんなで
出演者リストを見返すと
そこには『佐藤雪』という名前はなかった。
SixTONES・SnowManの一人一人の
メンバーの名前しか書いてなかった。
〖帰宅後〗
ガチャ
バタン
15人全員で
大声で『ただいま』っ叫んだのに
雪からの『おかえり』という言葉はなく
家の中はただただ
静まり返っているだけだった。
15人全員で呼んでも返事はない。
名前を呼びながら
リビングへと向かった。
リビングのテーブルには
いつかの朝みたいに置き手紙があった。
〖置き手紙〗
みんなへ
おかえり。お疲れ様。
夜ご飯作っといたから温めてから食べてね。
きっとみんなは
私が会場から姿を消したことに
疑問を抱いていると思います。
驚かせちゃってごめんね。
私はみんなとデビューすることができません。
もう、みんなといることもできません。
ごめんなさい。
でももう、みんななら大丈夫!
きっとみんならたくさんの伝説を残して
たくさんの奇跡を起こせるよ!
一緒にデビューできなくてごめんね。
短い間だったけど今までありがとう
ゆきより
そう書かれていた。
みんなで雪を探そうとした時
俺のスマホが鳴った。
📱プルル プルル
SnowManは照の
SixTONESは樹の運転で
大学病院へと向かった。
〖大学病院〗
〖病室〗
ガラッ
病室に入ると
雪はベッドに眠っていた。
きっと苦しいんだろうな。
苦しそうに辛そうにして眠っていた。
龍我 『忙しいのに呼び出しちゃって
すいません…』
勝利 『雪は病気なんだ
治療法も手術法もなにもない
雪の病気は治らないんだよ』
みんなは口を揃えて
『雪はいつも通りで
変わった所は何も無かった』
そう言った。
でも、その通りだった。
病気だと言われても信じることできなくて
雪が起きるのをただただ
沈黙の続く病室でじっと待っていた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。