第8話

欲の独占
228
2021/09/04 14:56





カーテンが揺れた音で目が覚めた。



時計の針はまだ4時を指す。





意外と軽かった足で昨日入り忘れたお風呂へ向かった。





鏡に映る自分の裸と接吻。



羞恥をシャワーで流した。

彼の匂いは流れてしまうが彼がいた痕跡は1週間くらい残ってくれる。
都合のいい男には丁度いい。



濡れた髪の毛を適当にタオルドライし、ちょっと早いけど朝ごはんの準備をする。





今日の献立はパンとゆで卵がメイン。

シンプルだがちゃんと栄養は考えている。
暖かいスープとレタスとウィンナー。



ちょっと作りすぎちゃったかな。





tm ん、おいしそ。



既に起きていた智貴が後ろからぎゅっと抱き寄せてきた。

料理に夢中で気づかなかった。



yf おはよう、早いね。

tm おはよー。ちゃんと髪乾かしなね。



そう言い肩にかけていたタオルを頭に被せられ、彼は顔を洗いに行った。



もう既に乾いてるけど、
頭に被ったタオルを軽くわしゃわしゃした。










ご飯を食べ終わり身支度をする。



今日は俺も出勤日だ。

一緒の鏡を見てネクタイを締める。





yf ちょっと曲がってる。

tm ありがとうございます。

yf いえいえ。



いつも曲がる智貴のネクタイは俺が直してあげる。

なんなら俺に直してと言わんばかりに毎回曲がる。



ちょっと不器用なんだよね。
そういう所がいつになっても愛おしい。





yf じゃあ先行ってきます。

tm 行ってらっしゃい!



僕は彼がするみたいにん って顔をしてみた。

そしたら彼は俺がするみたいにキスして見送ってくれた。



家が同じな為、2人とも出勤日の日は必ずどちらかが先に出る。



一緒に通勤することはない。



他の社員や視聴者に見られないようにと、

智貴の為にも。



俺がそうルールを決めた。

智貴の過ごしやすい環境を作るのです。
それが忠犬洋平のお仕事。










yf おはようございます。



会社に着いてから社員の様子が変だ。
みんな俺の事を見てはきょとんとした顔を見せた。



yf な、なんですか?



di くっそ、先越されちまった。

yf へ?なんの事ですか?



di いや、なんでもない。お幸せに。















お幸せに…。





俺と智貴の関係に気づかれた?

いや、そんなはずは無いだろう。
匂わせなど一切してないし、




そもそも俺たちは付き合っていない。





付き合っていないのに。



彼が俺に接吻を付けるのは何故?








独占してくれるのは何故。





ワイシャツの袖から垣間見る接吻が現実を突きつけてくるようで嫌だった。





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