第2話

踊り子
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2021/08/07 11:07





ただ体を重ねるだけ。



それだけがセフレのお仕事ではない。

彼から言われたことをひたすら守ります。
2人とも人間であり他人。
共同生活をする上でのルールを守らないと成り立たない関係。





ずっと1人で座って待っている。

彼、智貴が帰ってくるのを待っている。










久しぶりに実家の方から連絡があった。



内容は想定していたが、やっぱり将来のことだった。

家族には俺らのことを明確には話していないが、
一応一緒に住んでいる人はいると言っている。





結婚のことで焦らされるのはもううんざりだった。



自分でも結婚したいという気持ちはあるが出会いがまずないのと、
女性への条件が厳しいと自分でも思っている。

そこが結婚できない理由なんだろうけど。








窓の外はきつい雨嵐が吹き付けている。



どんなに俺の心がズダボロでも彼の帰りはちゃんと待つし、
いつでもキスして迎える。

彼がいれば俺の心はいつでも癒されるし、
彼が傷ついたときは俺が全力で慰める。





彼にとっての理想を務めるのです。








tm ただいま~。

yf おかえり!



智貴の声が聞こえた瞬間玄関へ走りしっぽを振る。
まるで子犬でしょ。
出来ることなら智貴に飼われたい。



智貴の鞄を持ち唇を舐める。

智貴も舐め返してくれる。










週末、今週も頑張ったね。





今日はベッドに入るのが早そうだ。



彼はネクタイを緩めたちまち俺の唇を奪ってくれた。








週に3、4回の至福の時間。





彼の全てがたまらなく愛おしくてすぐに熱くなってしまう。



俺の手首を覆う彼の手は大きくて暖かい。

ボタンを外す指先は細くて器用。








tm いつもより顔真っ赤だよ。



意地悪に言う彼にまた顔を赤くする。

髪が濡れてまた色っぽい。

既に蕩けそうな俺を見て智貴がメガネを外す。
その真っ直ぐな視線でずっと俺だけを見ていて欲しい。










yf 智貴、大好き。





tm 知ってる。





彼はいつもそれしか言わないが知っててもらえて満足だった。










都合のいい男になったのは自然にでは無く、あくまで自らです。





軋むベッドの上で、
君の手のひらで踊る。















踊らされてるんじゃなくて…





だだ、もっと上手に踊りたい。




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