第1話
ヒガンバナ
また逢う日を楽しみに───
アパートに住んでいる葉宮 沙羅は高校生の一人暮らしだ
志望校が実家から遠いのでアパートに引っ越してきた
沙羅は小さい頃から想っている人がいる
それは今でも同じ気持ちなのだが、その想いを寄せている人は引っ越してしまい、今は何処にいるのかも知らない
半分諦めていたある日、沙羅は休日で散歩がてら近所を歩いている時、すれ違ったその人は思いを寄せている人と同じような顔立ちだった
沙羅はその人の写真を持っていた
最後の日、一緒に撮った写真を
知らないうちに話しかけていた
「あ、あのどこかでお会いしたことは……」
「えっ………? …」
その人は少し考えている様子で私をじっくりと見始めた
「あ、あ〜えっと………… 沙羅…ちゃん?」
自信なさげに言っていたが、やっぱりだ
「そう!久しぶり、硝くん────」
久しぶりに会った硝と言う人は小さい時よりも顔が可愛らしくなっており、背もそこそこ
昔話に花を咲かせている時、硝から告げられた
「ごめんね沙羅ちゃん。私硝華って言うんだよ。雨宮 硝華って」
「うん、知ってるよ。硝くんが女の子なことも」
硝華は小さい頃、男の子っぽくてよく間違えられていた
もう少し喋っていたいから、沙羅の部屋に硝華を呼んだ
お邪魔しまーすと言って入っていく
沙羅は硝華が男子でも女子でもどちらでも好きでいた
中身に惚れていたからだ
それから沙羅と硝華は連絡先を交換して、ちょこちょこ会うようになった。幸いにも硝華の家は沙羅の家から近かった
一緒にランチをしたり、どちらかの家に泊まったり色々なことをした
どちらも高校生なので時間を合わせるのは大変だったが……
今日は遊ぶ約束をしていた沙羅と硝華だが、なかなか来ないし、既読もつかないので心配して硝華の家に行ってみた
が、インターホンを押しても返事がない
硝華のお隣さんに話を聞いてみたら、下校中に車に轢かれたらしい
近くの病院に駆け込んでカウンターで名前を言って病室に駆け込む
「硝華!!」
「だ、だれ………?」
そこには硝華のお母さんが来ていた
泣きすぎて腫れた目だった。
「あ、沙羅です!葉宮 沙羅!覚えてますか……?」
「さ、沙羅ちゃん?!?! 硝華もう長くないみたいなのよ………」
えっ……………………?
急に頭が真っ白になって何も考えられなくなっていた
折角逢えたのに、会えたのに───────
私は気づいたらこんなに涙が出るのかと言うぐらい泣いて泣いて泣いた
少しして硝華は亡くなってしまった
有難く、硝華のお母さんに葬式に出て欲しいと言われたので出させてもらった
葬式が終わって帰っている途中、道端に2輪の彼岸花が咲いていた
「彼岸花…………硝華が好きな華だなぁ」
──────────
硝華はどんな華が好きなの?
私はね〜彼岸花が好き
彼岸花?どうして?
だって、紅くて綺麗じゃん?白も黄も大好き
そーなんだ
──────────
「……本当に綺麗だね」
彼岸花は硝華のような美しさ。
紅いその2つの花は陽の光に照らされて世界一美しい華に見えた
妖しく綺麗な華は嗤っているように見えた──