あれから、彼等は狩りと訓練を繰り返し、
日に日に自分達の能力をものにしていった。
不安定だったまっすーの能力も安定し、今では手裏剣とムチを使い分けることもできる。
そしていよいよ、1/7...
LIVEの日がやって来た。
ステージ裏で小山は弱気になっていた。
4人で手を取り合い頷きあう。
3人は、袖にスタンバイした。
まもなく、LIVEが始まる。
証明が暗転し、ステージに注目が集まる。
ブジューーー!
煙が上がり、四人が飛び出した。
まさにそのときだった。
バーーーーーーーーーーーーーーン💥
ドームが破られ、吸血鬼が何体も降りてくる。
ファンは悲鳴をあげるものもいたり、ビックリして声もでないものもいたり、パニック状態だった。
手越が叫ぶと、小山はファンの真ん中に飛んでいって、シールドを出す。
ファンを包み込むように大きなシールドをはった。
吸血鬼はこれを破ろうとシールドに群がり攻撃してくる。
空に手を向けながら苦しそうに呟いた。
加藤が入り口を開き、そこから外へとテゴマスシゲは羽ばたいていった。
外に出ると、100体近い数の吸血鬼がドームの回りに群がっていた。
3人は、それを上から眺めると、作戦とそれぞれの役割について簡単に話す。
そういうと、テゴマス少ししたの方に降りる。
加藤は少し上昇すると、出入口を作った。
自分の下の方に空いた穴から吸血鬼が落ちていく。それをテゴマスが殴り、蹴り、時に刺す。
ただ、吸血鬼は生命力が高く、なかなか死んでくれない。
その上、純血の吸血鬼ではない彼らが能力を使い続けるには相当な体力が必要だった。
手越が疲れを見せたすきに吸血鬼にバックをとられ、首を絞められる。
ひゅ!ムチが飛んできて、吸血鬼の首に巻き付く。
増田のムチだ。
ムチを引っ張り手越から吸血鬼を引き剥がすが、吸血鬼はそれでもまだ手越にしがみつこうとする。
手越はおもいっきり吸血鬼の首筋に噛みつく。
そして、そのまま血をすいだしたのだ。
疲れたからだが一気に癒され、力がみなぎってくる。
そして、吸われた吸血鬼は灰となり消えていく。
3人は目配せをすると、また他の吸血鬼に向かっていき、首に吸い付く。
加藤は次々と吸血鬼を空に投げ出していった。
増田はムチを使い吸血鬼を縛ってから噛みつく。
手越は瞬間移動を使い、器用に背中から噛みつく。
そして、シールドに群がっていた吸血鬼が半分くらいまで減ってシールドが見え始めたとき、手越はその異変に気付く。
加藤が出入口を作ると、手越は近くにいた吸血鬼を捕まえて血を吸い、口に含ませたまま中に入っていく。
小山はずっと力を使い続けたため、疲れきっていて、まともに立ち上がることもできずにいた。
ステージに座り込み、肩で大きく息をしてる。
手越は小山のもとにいくと、口移しで血を分けた。
小山に力が戻ると、シールドはまた厚くなって色が濃くなった。
小山に言ってるのか、自分に語りかけてるのか、手越はそれだけ残すとまた空に出ていく。
増田が、手裏剣を吸血鬼の首目掛けて放つ。
手裏剣に怯んだやつらの血を手越が吸っていく。
加藤はシールドにいる吸血鬼の数が少なくなってきたので、能力をそんなに使わずに、シールドの上で戦う。
やつらの攻撃を交わしつつ、首筋がノーガードになる瞬間をまつ。
そして、チャンスが来たら噛みつく...
どれ程こうしていたかわからない...
ついに残り2体になる。
増田が捕まえ、手越が噛みつく。
加藤ももう一体に噛みつき、事は終わったと思われたその時...
Mr.Nがあらわれた。
黒いマントをはおいフードを被っているため姿はよく見えないが、憎しみのこもった目はよくわかった。
Mr.Nは冷たい視線を向けてくる。
甲高い笑い声だけが会場に響く。
確かに、この15年間彼等はファンを悲しませることが多かったかもしれない。
それがわかっているから、何も言い返すことができずにいた。
大きな声で叫んだのは、一人の少女だった。
彼女は震える声で、Mr.Nに訴えかける。
そう叫ぶ少女に乗っかるように、他のファンも叫び出す。
いつの間にかメインステージに戻ってきていたメンバー。
手越はその場で泣き崩れてしまう。
小山も、加藤も、増田の目にも涙が浮かんでいた。
ファンに罵倒されて怒りで顔を歪めるMr.N。
Mr.Nも負けじと言い返す。
ファンの優しい言葉が嬉しくて、ありがたくて、また涙する。
Mr.Nはそんな4人を見てまた怒りと憎しみに溢れた心を露にした。
黒いビームがファンに向かい放たれる。
手越は瞬間移動を使いファンとビームの間に入り込んだ。
バーーン💥
鋭い音が響く。
Mr.Nがビームを止めてファンとの間に割り込んできた邪魔物を睨む。
手越は回りに紫色のシールドが張られていたため無傷だった。
小山がとっさに張ってくれたのだろう。
手越は力強い目でMr.Nを見つめる。
ビュッ
増田が手裏剣を放つ。
Mr.Nは避けようとしなかった。
いくつもの手裏剣が、Mr.Nの体を貫く。
今までとは違い優しい声で呟く。
Mr.Nの体はだんだんと薄くなり、消えていく。
4人はステージに降りるとファンと共に、消えていくMr.Nを見守る。
消える前、直前Mr.Nは確かにこういった。
Mr.Nの影は薄くなり、弾けて、
辺りにはキラキラした光が降ってくる。
光を浴びた4人の羽や牙が消えて元の人間の体に戻っていく。
Mr.Nが消えて呪いがとけたのだった。
加藤は自分の手のひらを見つめて呟く。
小山の謝罪につづいて手越が土下座をした。
加藤と増田、小山も土下座をし謝罪する。
ファンのみんなは心配そうにそれを見ていたが、
いつしかNEWSコールが響き渡る。
ファンがNEWSを許してくれている証だ。
彼等は顔をあげ、その光景を目にして、お互いを抱え会うようにして泣いた。
これ以上涙がでなくなるまで、ずっと...
真冬だと言うのに、会場は暖かい春の陽気に包まれていた。
暖かい心がたくさん集まり、春の陽気を作り出していたのだ。
それは、切なく、ただひたすらに美しかった。
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ここまで読んでくれて本当にありがとうございます🙇
取り敢えず、本編は完結いたしました‼️
応援してくださった皆さんには感謝しかないです😭
エピローグとあとがきも書くので、もう少々お付き合いください。
作者より
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。