あの後どうなったのかはよく覚えてない。
気が付いたら夜が明けていた。
俺らはステージ上で眠ってしまったみたいだ。
ファンのみんなも、各々の席で眠っている。
メンバーが全員目を覚ます頃には、ファンの半分くらいが起きていて今の状況に混乱していた。
ファンはスタッフが誘導して帰してくれるだろう。
俺は3人を連れて楽屋にはいる。
シゲは不安そうに呟いた。
終わっていたのなら、もう人の食べ物も食べれる。
終わっていなければ、血を吸いたいと強く思う。
まぁ、吸血欲は全くないから、ホントに人間に戻ったのだろう。
みんな餃子に手を伸ばし、恐る恐る口に運んだ。
肉汁が口のなかに広がっていく。
この餃子は本当においしかった。
これが食べれたってことは、やっぱり人間に戻っていたのだ。
安心と安堵で深いため行きをつく。
3人が餃子を取り合ってるのがたまらなくいとおしい。
この幸せで平和な日々がずっと続きますように。
俺はただ、それだけを強く願ったのであった...
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!