第36話

36.
3,436
2021/03/15 23:04

あれから何日か経った

平野紫耀に家政婦をこのまま続けてほしいって言われてから

首の怪我の件もあって

結局バイトの件は有耶無耶な状態で

私はまだ新しいバイトを探せずにいた

一応あれからも平野紫耀の家には何度か行ったけど

忙しいのか、1度も会わなかった




大学は事情が事情なので
今回は怪我が治るまでは単位に影響しないと言ってくれた

その分、カナが何度か家に来てくれて
勉強に付き合ってくれた


カナが言うには、あの事件以来
永瀬くん人気がさらに急上昇したらしい

カナもちょくちょく永瀬くんに話しかけられる事が増えたみたいだ

カナ「でも、8割アンタの状況教えてって話だけどね笑」






そんなこんなで、やっと首の痣が消えて
大学に行ける日が来た


学校前でカナと待ち合わせをしてる

カナを待ってる間、
色んな人が私をジロジロ見てきた


あー、事件の件で私ある意味有名人なのね


ジロジロ見られて良い気分はしないよね



カナ「あなたおはよー!!」


やっとカナが来た


「なんかマジでジロジロ見られるんだけど
胸糞悪いわぁ」


カナ「まぁ、衝撃的な事件だったからね。
あんま気にすんな!なんかあったら私がシバいてやるから!!」


カナからなんとも頼もしい一言を頂いた


廉「宮城さん、おはよう。」

私を見つけた永瀬くんは、相変わらずキラキラたっぷり爽やかに話しかけてきた

「永瀬くん、久しぶり。改めてこの前は有難う。
警察やらなんやらで、だいぶ迷惑かけちゃって本当ごめん」

永瀬「俺の事はいいんよ。大学に来れるようなって、ほんまよかった」

永瀬「それよりちょっとええ?」


永瀬くんは、カナにちょっと席を離れてもらうようにお願いして私の横に座った


永瀬「宮城さんこの前メンバーとドライブ行ったん?」


「え?あ、なんか流れでそーなった」


永瀬「あと宮城さん紫耀の家政婦してるってほんまなん?」


そっか、平野紫耀は永瀬くんにも言ってなかったのか


私は家庭の事情でバイトをしなきゃいけない事、タツヤくんのせいでバイトが出来なくなった事
それで平野紫耀の提案で家政婦をしてる事を伝えた


永瀬「そーやったんか...宮城さんもドライブ行くってわかってたら、俺も断らんで行けばよかった」


メンバーみんな、とっても楽しくて良い人だねって伝えると
平野紫耀と同じく、凄い嬉しそうな顔をして笑った


永瀬「せやけど宮城さん。紫耀には気ぃつけてな。あいつ女に手ぇ早いねん」


思い出せば彼はスキンシップが多い


「あー、自意識過剰で女慣れはしてるよね笑
大丈夫。私はそーゆーのじゃないから笑」


永瀬「まぁ、紫耀が女慣れしてるのは否定せんわ笑
せやけど紫耀も自分の立場わかっとる男だから宮城さんみたいなタイプに手は出さへんとは思うんやけど
紫耀に何かされたら俺に言ってな笑」


そう言って永瀬くんはキラキラオーラで
軽快に去って行った


アイツ、やっぱり女癖悪いんだ

私みたいなタイプってなんだよ...


やたらスキンシップが多いのも
私だけが気にして馬鹿みたい...


なぜか胸がチクリと痛んだ









『ちょっと来て!!』


振り向く前に勢いよく腕を引っ張られた






おぉ〜出た!"れんれん取り巻き隊"だ!!




ひと気のない裏庭に連れてかれ
思いっきり押された


そしてその拍子に転んだ


「いって!!いきなりなにすんの?」


少しイラついて私は取り巻き隊の2人を睨む


『お前こそ!れんれんと何話てたんだよ!
前に忠告したよな?喋るなって!』

ものすごい勢い剣幕で私にキレてくる

ーコイツらどんだけいつも永瀬くんの事見てるんだよ...ー


この前神宮寺くんが言ってた言葉を思い出した

きっとこんな子達がいるって分かってるから
永瀬くんはあえて女の子とも喋らず
"普通"の生活を過ごせないのかって


「お前らみたいな奴がいるから彼は色々我慢しなきゃいけないのにね
誰と喋ろうが永瀬くんの勝手だろうが」


私の発言によほど腹が立ったのか
取り巻き隊の1人が
落ちてた大きめの石を片手に
私に向かってきた


『れんれんに助けてもらったからって調子乗んじゃねーよ!!
テメェなんてこの前死ねばよかったんだよ!!』



ひっど〜!!

コイツはなんて酷い事を言うんだと思った




ガッッ!!!!


手で塞ごうと思ったけど間に合わず
石は私の頭に当たった


いってー!!!

最近私こんなんばっか!!


それでも私は怯まず言った


「ファンなら永瀬くんを困らせたり迷惑かけたりするんじゃねーよ!!」


取り巻き隊は泣きながら絶叫して
私に摑みかかる

その時、走ってくるカナと永瀬くんが見えた

カナ「てんめぇぇぇえ!!あなたに何してるんだよ!!」

カナは鬼の様な物凄い形相で
取り巻き隊に見事な飛び蹴りを食らわした

カナ「あなたに手ぇ出す奴は許さないんだから〜!!」

カナは泣きじゃくりながらもう1人の取り巻き隊に摑みかかる


それはもうカオスな状況だった

そんな光景を意外と冷静に見てた私


永瀬「宮城さん!!」

遅れて永瀬くんが走ってきた

彼はカナと取り巻き隊に割って入った

興奮しているカナを落ち着かせ

取り巻き隊の2人に静かに問いかけた


永瀬「なぁ...なんでこんな事するん?」


2人は黙って俯いている


永瀬「なんで宮城さんにこんな酷い事するん!?彼女が何したんやって!!!何もしてへんやろ!!」

永瀬くん、メチャクチャ怒って怒鳴った


永瀬「なぁ、アンタらにも同じ事したろか?この石で宮城さん殴ったんやろ!??」


永瀬くんは落ちてた石を拾って2人に近づく


2人は泣きじゃくりながら
ごめんなさい、ごめんなさいと言いながら震えていた

なんだか2人が少し可哀想に思えた


「永瀬くん!!
もういいよ。別に大した事ないし!」


永瀬「血ぃ出てるし、大した事あるわ!!」

カナ「そうだ!この前もあなたに言いがかりつけてきたし!!」

カナまで便乗した

「もういいよ。私は大丈夫だから
あなた達も本当に永瀬くんの事応援してるなら、こんな事なんてしないで
もっと他にやり方があるでしょ?」

「この事は誰にも言わないから
あなた達も、もうこんな事しないで」


そう言って私はその場から立ち去ろうとした


永瀬「...なぁ、2人とも宮城さんに謝って?」



『ご...ごめんなさい...』



2人は泣きながら私に謝った


永瀬「俺の友達にこれ以上迷惑かけるような事したら、俺君たちの事許せなくなる
そんなん俺も嫌やから...
...お願いやからもう辞めてな??」

永瀬「いっつも応援してくれはるのに
怒鳴ってごめんな」


2人は泣きながら永瀬くんに謝り
その場を去って行った



永瀬「宮城さん、大丈夫??」


永瀬くんは心配そうな顔で私を見た


「私は大丈夫だよ
それにしても永瀬くん、満点の対応!さすがとしか言えないわ!笑」


永瀬「ごめんな...俺のファンが迷惑かけて
俺が気ぃつけとったらこんな事ならんかったのに...」

「ハハッ!気にしないで!!笑
私はある意味貴重なカナの勇姿を目の当たりにに出来て満足してる笑」

カナ「あなた〜〜〜」

カナは鼻水垂らしながら私に抱きついてきた

カナ「頭痛くない?傷できてない?あなた大丈夫?」

カナの鼻水が私の服についた

でも許してあげた











血はすぐ止まったので
特に問題なくその後の講義を受けた

頭ってかデコだったので
傷は前髪で隠れるから問題はない

帰る時に、門の前に取り巻き隊の2人がいた


『...あの..宮城さん!!』

やっぱり私待ちだった


「今度はなに??」


2人は俯いてなかなか話をしない

なにか私に話たい事があるのはわかるので
私は2人が声を出すのを待った


『あの....さっきは本当にごめんなさい!!!
あの後、宮城さんに言われた事とか色々考えてて...』


意外にもすんなりと素直に謝ってきた

『れんれんに嫌われたと思って凄くショックだったけど
あの後、宮城さんは初めて出来た女友達だって言われて。
私達、宮城さんに嫉妬してたの。
やっぱりれんれんが大好きだから嫌われる事したくない。
だから、本当にごめんなさい』



素直に謝ってきた人から私は許した


「だからもう気にしてないって笑
私こそ、キツい事言ってごめんね!」


2人はやっと笑った


『本当は凄く嫌だけど、れんれんと宮城さんなら応援するから!』


2人は何かを勘違いしながら
そんな事を言いながら私の前から去っていった


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