第27話

27.
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2021/03/02 15:29

永瀬side


紫耀から宮城さんの事を頼まれてから数週間ほど経った

あれから特に変わりなく、"タツヤ"という男は、これといって行動を起こす感じはなかった

毎回大学に行く度に、紫耀にどうだったか聞かれるのも考えもんやで

てか紫耀の考えすぎやん

なーんも起きひんわ




俺が紫耀の頼みを引き受けてからは

今までよりも、宮城さんと話す機会が少し増えたくらいや


まぁ、基本的にラインやけど


宮城さんは俺が休んだ時の講義のノートの画像を、律儀に俺にラインしてくれるようになった


まぁ、変わった人やけど
基本真面目な人やね


ところで俺が気になってる事が
もう一つあんねん。


なんか紫耀が最近どこか変わったような気がすんねん

なんちゅーか、もともと俺らには温厚な感じやったんやけど

なんか、ちょっと柔らかくなったとゆーか



あと、最近紫耀は
たまに仕事の時間が空いたら
家に一度ちょくちょく帰るよーになった


なんや聞いたら、気紛れな猫預かったとか
訳わかんない事言いはってたわ







そんなある日、
講義が終わって教室を出ようとしたら
誰かと入り口ですれ違った


一瞬気づくのが遅くなったけど

タツヤだった


俺が振り向くと、すでにタツヤは宮城さんのところにいた


なにやらお友達と話してるみたいや
宮城さんの顔が一瞬歪む

宮城さんが教室から飛び出した

その後タツヤも追いかけて出て行った


一瞬見えたのは、タツヤの笑った顔だった



ヤバい!!!



俺はすぐに2人を追いかけたが
廊下を出たら既に2人の姿が見当たらなく

俺は必死で2人を探した



人通りが少ない廊下の向こう側から
宮城さんの声と男の怒鳴り声が聞こえた


俺は急いで2人の所へ向かった




そこで俺が見たのは








笑いながら宮城さんの首を絞めてるタツヤだった


宮城さんは既に意識がなくなったのか
ぐったりしてた


『お前、なにしとんねんっ!!!!」



俺はタツヤを宮城さんから引き剥がそうとしたが
なかなかタツヤは力を緩めない


『誰かおったら来て!!』


俺の声を聞いて駆けつけた2.3人に
タツヤは取り押さられた


『おい!宮城さん!!大丈夫か!?』


俺は宮城さんに声を掛けながら
彼女の頬を軽く叩く


あかん。反応がない



首を見るとハッキリと手の跡と
指が食い込んだと思われる傷があった


『救急車呼んで!!』



騒ぎを聞きつけ、宮城さんの友達のカナちゃんもやってきた


カナ「キャーーー!!あなた!!!」


彼女はだいぶ取り乱したのか
宮城さんの名前を叫びながら泣いていた






しばらくして、救急車と警察が来て
宮城さんは運ばれて行った


タツヤも警察に連れて行かれた



そして俺は紫耀に連絡をした





紫耀は仕事中なのか電話に出なかったので
ラインで連絡を入れた


俺は警察で事情説明しなきゃあかんかったので
マネージャーに連絡して事情を説明をした





先程の光景が目に浮かんだ

笑いながら力一杯首を締めてるタツヤ

青白い顔になって意識がなくなっとった宮城さん

俺がもう少し早く気づいておったら
宮城さんはこんな事ならなかったんやないか...



紫耀の言ってた気持ちが少しわかったような気がした


その後紫耀から着信があった

なんや凄い取り乱した様に
俺に事情を聞いてきた


一通り状況を説明した

紫耀は絶句してた


『紫耀仕事中やろ?まずは仕事に集中せなあかんで。宮城さんの病院とか、ラインで送っとくから』


紫耀「、、、わかった...」


苦しそうに絞り出すような声で返事をした紫耀を、俺は心配した








警察署内では、色々聞かれてクタクタになった


警察の人が言うには タツヤに薬物反応が出たので家宅捜査をしたら
大量の宮城さんの写真やら薬物やら
色々で出来たらしい

あと、俺が止めた時に
アイツ、ナイフ忍ばせてたってー

怖っ!
ごっつ怖いやんけ!!

タツヤあいつヤバすぎやろ!!



宮城さん、、、大丈夫だろうか

意識は戻ったんやろか


俺、紫耀との約束守れんかった、、、

せっかく紫耀が俺の事頼ってくれたのに


ようやく警察から解放された俺は
紫耀に電話をした

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