第50話

50.
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2021/04/08 23:15

部屋の前に来た私は一応チャイムを鳴らした


が、反応はない


そもそも家に帰ってるかもわからない

でも、どうしてもちゃんと謝りたい

もしいなくても帰ってくるまで待ってようと思い
私は合鍵で家に入った







部屋の中は真っ暗だった


やっぱりいないのかな、、、



暗い部屋の中ソファに横になる






さっきの出来事が頭を駆け巡る



なんであんな事になっちゃったんだろ

まさかあの時の事が出てくるなんて...

手、、、思いっきり振りほどいちゃったな...
痛かったかな...



あんな顔するなんて思わなかった

あんな顔させたくなかった








「ごめんね...」











そう呟いた時、寝室の方から物音がした




平野紫耀が目を見開いて立っていた






紫耀『え...な..んで??』











「...ごめん、まだ帰ってきてないと思ってたから...」






紫耀「何しに来たの?」




今まで聞いた事のない不機嫌で冷たい言い方に
私は胸が締め付けられた







「...謝ろうと思って...」







紫耀「なにを?」




冷静でいつもより低くかすれた声




「さっきの態度を...あんな顔させちゃってごめん...」




お互い無言になる


実際は数秒程だったけど私はもっと長く感じた






紫耀「...俺に触られるのが...そんなに嫌?」





違う




紫耀「俺の事、そんなに嫌いだった?」



違う



「ちが...」

紫耀『だったらなんでっ!!!』


部屋中に平野紫耀の声が響き渡った




その瞬間、私の体がガタガタと震え出した



あれ...まただ...なんだこれ...震えが止まらない...


突然襲ってきた恐怖感


怖くて怖くてたまらない



あぁ、、、うまく息が吸えなくて
あの時の苦しかった事を思い出す...

私は首を抑えながらその場でうずくまった






紫耀「...おい...あなた...??」








ハァ...ハァ...




うまく呼吸が出来ない

苦しい


でも今ちゃんと伝えないと

また彼に悲しい顔をさせてしまう....





「ちが...うから...ほ...んとうに...」



精一杯の力を振り絞って私は彼に伝える


「い...や..じゃな...い...」


呼吸が...息が...苦しい


酸欠なのか頭がボーっとしてくる


体に力が入らなくなってきて

私はその場にゆっくりと前に倒れた




紫耀「あなた??おい!大丈夫か!!」



体がふわっと浮いた





紫耀「あなた落ち着いて...ゆっくり深呼吸しよう」







そう言った彼はいつもと同じ優しい声だった





私は彼に抱きしめられながら深呼吸をする




紫耀「そう...落ち着いて。大丈夫だから」


彼の声が心地良く感じる


抱きしめられるとなんか安心する




少しずつ、呼吸が出来るようになってきた







「さっきもいきなり掴まれた時に
この前の事がフラッシュバックみたいになって...傷つけてごめん。。。」


「なんか私、ガラにもなくトラウマみたいになっちゃってるっぽい」








紫耀「...俺の方こそ怖がらせてごめんな...」











私...いつからこんな弱くなったんだろ

彼らと会うまでは、なんだって1人でやってきたのに


タツヤくんとの事だって
全然大丈夫だって思ってたのに、、、

気持ちに体がついてこない






紫耀「落ち着いたか?」



「うん、もう大丈夫」



そう言って彼は私を離した



紫耀「俺の事、本当に嫌じゃない?」


「意外と嫌じゃないよ笑」


私の手をゆっくりと握った


紫耀「俺の事、怖くない?」


「怖くないよ笑 
でもいきなり大声とか、いきなり掴むのとかはきっとまだダメかも笑」



そっか、気をつけると言った彼は
少し寂しそうに笑った




紫耀「てゆーか廉は?」


「え?永瀬くん??まだ店じゃない?」


紫耀「じゃなくて!あなた廉の事好きなんだろ?」



またはじまった


はぁ

「てゆーか私がいつ永瀬くんの事好きって言った??普通に友達としては好きだけど」


「そのネタ毎回ホントしつこい」


紫耀「え?でも廉は...
いや、なんでもないや。だってさっき言ってたじゃん」


「だーかーらー、永瀬くんを好きなんて一言も言ってないよね?
私が誰を好きだろうと関係ないでしょって言っただけじゃん」


この前も思ったけど、平野紫耀は人の言った事を
自分の中で勝手に都合の良いように解釈する事が多いのね



紫耀「でも服も一緒に買いに行って...収録きて、それってデートじゃん」



「はぁ?笑 本当にたまたまだし4人だったし笑
それがデートのわけないじゃん笑」



なんだぁ〜よかったぁ〜と言いながら
しゃがんで顔を手で隠す彼




紫耀「この前の事で、俺の事嫌いになったかと思った〜」



、、、



すっかり忘れてたけど


そうだ、この前の事を思い出した



彼はしまった!!とゆー顔をして
今度は手で口を押さえた



紫耀「あ...えっと...この間はごめん」


彼は気まずそうに言った





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