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自宅の最寄駅につき、そこからの帰路が別々の私たちは駅前のコンビニのイートインスペースでおやつを食べるのが日課だ。
でも今日はその誘いを断り、新しい誘いを持ちかけた。
『ねぇ 今日恭平の稽古場に差し入れ持っていくんだけど、くれはもこない? 』
くれはは少し悩んだ表情を見せた後 ‘ 行かない ’ と答えた。
くれは「明日あなたに教えてもらえるように、分からないとこまとめたりするわ。恭平に舞台楽しみにしてるって伝えといて ~ 」
『うん。分かった 』
くれは「じゃっ。また明日 !あなた様よろしくお願いします!!!」
『その言い方やめてよ 笑』
その時のくれはは、一瞬、どこか悲しいのか、寂しいのか、暗い感情を持っているような表情をしていて、
少し気になりながらも、 ‘ ばいばい ’ という時には笑顔になっていたので深くは考えていなかった。
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「ん~!これ美味しい!! ハマりそう ♡....あなた?」
『.....これ、親友が帰りに寄るコンビニでいつも食べてた味に似てる。』
「あなた最近、その親友さんと恭平?って人の話、よくするよね。......会いたいの ?」
『......うん、会いたいよ。 でも、大丈夫 』
「話せば、帰らせてくれるんじゃない?」
『いやっ、! 帰らない。
帰れない。』
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!