第6話

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2019/07/12 15:46
恭平「あなた」



教室に違うクラスの人が来ると自然と目が行くもので、ましてや恭平となると周りは静かにしていられない。



‘ 恭平くんだ ’ ‘ 本当にかっこいい、’
‘また白石さんかな、’ ‘私とも話してくれないかな ~ ’



周りの声は恭平の耳に届いてるはずなのに、私だけを見て進んでくるもんだから、私も目をそらすことができなくて、それはまるで2人だけの世界に浸っているような気分だった。


『どうしたの ?』


恭平「ちょっと来て」



恭平は私の席に着くなり、腕を掴んで私を廊下へと連れ出した。
この人は、周りの目というものを知らないのか、。
あぁ、後で質問攻めされるのは私なのに、
なんて思ってれば、今日はやたらと呼ばれるのが多い気がする名前が恭平の口から発せられたのに続いて話しを始めた。



恭平「行ってくる」


『え...どこに?』


恭平「.....稽古」



その言葉を聞いて、そういえば恭平が学校から仕事場に行くときは必ずと言っていいほど、私に一言言ってから向かうことを思い出した。



『あそっか、! 頑張ってn...』



私の言葉を遮るように恭平は私の肩に自分のおでこを乗せた。離れたくないと言われてるようにも感じられた。



恭平「 久々。2人で話すの 」


『確かに、朝はくれはとか周りの子がいたもんね 』


恭平「最近忙しいせいであなたとの時間がない、」


『忙しいのはいいことじゃん 。私も応援してるし、ほら、頑張っといで? 』



離れそうになかった恭平を無理やり離れさせ、仕事に行かせようと言葉をかけた。
行きたくないという表情になりながらも、体は階段の方に向き、私も教室に戻ろうと体の向きを変えようとした時



恭平『 差し入れ。 待ってるから』



その言葉は私の方を向いてなくても、私に向けられたもので。めんどくさいな、なんて思いながらも、この後の5・6限では何を作っていってあげようか考え込んでしまっている自分に、恭平の存在の大きさを改めて感じる

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