これはとある方に仕える、平凡な僕のお話。
「僕だって…」
僕は物心ついた時からいわゆる虐待を受けていた。
父親も母親も、兄もこの人達は全員敵。
殴る蹴るの暴行は当たり前。
『お前は出来損ない』『産むんじゃなかった』『邪魔』
こんな事を言われるのも当たり前。
小学校に入るまでは、これはどんな人でも体験してると思ってた。
でも、違った。周りは皆にこにこの笑顔で楽しそう。
『なんで?なんで皆お父さん、お母さんを見てても笑顔なの?』
子供ながらにそう思った。
そうして僕の家族は周りとは違う、可笑しいということに気付いた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。