きっと、あの子を気に入ったんだ。
九条さんは何を目指しているんだろうか……
その時、九条さんの電話が震えた。
画面には非通知の文字。
泣いて掠れた声で電話をかけてきた。
恐らく、二階堂大和との溝が更に出来てしまったか。
慌てて九条さんの電話に言う。
こっち側に来てはいけない。
もう元には戻れなくなってしまうから。
不安が募るばかりだった。
この事をIDOLiSH7の誰かに教えるべきか。
でもなんで、こんな事に…?
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部屋の荷物をバックにつめた。
皆にはまだ話せないでいるけど、きっと何も言わずに出ていくことになる。
それ以上、会話もなく荷物を持ち部屋から出て行った。
ちょうど皆がいない時を見計らって。
その時、目の前に車が止まった。
高級そうな車の窓が開く。
振り返りもせず、車に乗った。
すぐさま車は動き出す。
万理さんの声が聞こえていたけど今は聞きたくなかった。
本当にこれが正しい選択なのか、
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隣には天さんが座っていたけど、やっぱり笑う事は1度もなかった。
車内は静かで沈黙が続くのみだった。
気がつけば、あまり知らない場所に来ていた。
そう言うと頬をつねられた。
緊張するな、という意味なのだろうか。
車を降り、家に入る。
よっぽど俺が嫌いなんだなぁとつくづく思う。
これから俺はどうなるんだろう。
IDOLiSH7の皆にちゃんと伝えてない、それにまだメールアドレスもLINEもあるから連絡がいつきてもおかしくない。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。