第15話

誘惑
997
2018/06/06 21:37
小鳥遊紡
小鳥遊紡
とりあえず頬を冷やしましょう
氷の入った袋を頬に優しく当ててくれた。
万理さんが大和と柊和を叱っている。
大神万理
大神万理
……言いたい事は色々あるんだけど、同じ事務所の人間としての威厳をちゃんと持ってね?
二階堂大和
二階堂大和
は、はい……
昼野柊和
昼野柊和
だから、なんなんだよ
喧嘩腰な柊和の言葉に万理さんが反応する。
大神万理
大神万理
生意気な口を閉じようか?
にっこりと微笑んでいるものの、万理さんが鬼に見える。
さすがに怖かったのか柊和は何も言わなかった。
大神万理
大神万理
柊和くん、君の行為には目が余る。
警察に行ってもらうよ。

やっと、こんな地獄の日々から抜け出せるんだ……
柊和に怯えながら生きる。
そんな考えもいらなくなった。
二階堂大和
二階堂大和
なんで、早く言ってくれなかったんだよ……
あなた
あなた
大和は、もう俺の事…嫌いなんだって思ってた
全身の力が抜けて、痛みも引いてきた。
腕を見れば所々に痣がある。
こんなに柊和に殴られたのか……
小鳥遊紡
小鳥遊紡
もし、お二人がデビューしていたら大事件になっていたかもしれません。こんなに身体に傷を作って気づけなかった私も私ですが……
柊和は警察に行き、今まで俺にした事を全て話した。
もちろん素直に話したわけじゃないけどただ早くこんな記憶を消したかった。
傷つけられて、息が出来ないような辛さ。
この痣と共に身体に刻み込まれていくんだろう。



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警察からの事情聴取が終わり、寮に帰るともう夜は明けていた。
もちろん事務所にはいられなくなったし、デビューすら遠い話となってしまった。
和泉三月
和泉三月
お前……大丈夫、なのか?
逢坂壮五
逢坂壮五
あなたさん……
玄関を開ければIDOLiSH7のメンバーが驚いた様子で迎えてくれた。
あなた
あなた
ごめん、黙ってて……
四葉環
四葉環
……あなたちゃん……なんで
環が真っ先に俺の元へ来た。
包帯で巻かれた腕に優しく触れた。
四葉環
四葉環
俺も、今ならあなたちゃんの気持ち少しわかる気がするから
涙も、感情さえも出ない。
空っぽの自分になってしまった。
呆然としていると三月が優しく話しかけてくれた。
和泉三月
和泉三月
まぁ今は陸とナギがいないから2人には事情伝えとく。
ご飯食べられるか?
あなた
あなた
ありがとう、三月くん
ちょっと部屋で休んでくるね。
重い足取りで部屋に向かう。
そういえば大和がいなかった。
大和の部屋をノックする気力もなく部屋に入った。
コートを脱ぎ、荷物を置いてベットに倒れ込む。
あなた
あなた
……空っぽだよ……ねぇ、どうしたらいいの。俺は俺はここにいていいの?誰か教えてよ……
悲痛な叫びは聞こえない。
それから吸い込まれるように眠りについた。
何度か誰かが部屋に入ってきたけど、それも無視して眠った。
目を覚ます頃にはもう夕方になっていた。
二階堂大和
二階堂大和
起きろ、あなた
あなた
あなた
……大和
二階堂大和
二階堂大和
今後についての話は今聞くのは辛いと思うけど、社長から話があった。
俺が代理で聞いてきた。
社長がどう判断したのか、今の状態で聞くのはとても苦しかった。
二階堂大和
二階堂大和
デビューは諦めて、マネージャーにならないかって。
今は辛いかもしれないけど、IDOLiSH7のサポートを任せたいって。




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