第14話

悲劇
939
2018/06/06 09:43
柊和が去った後、座り込んで動けなかった。
それなりに精神にも身体にもダメージを受けたのだろう。
通りかかった社長さんに見つかり、そのままレッスンは中止となった。
小鳥遊音晴
小鳥遊音晴
すまない、君の事をよく考えていなかったよ。どんなに頑張っても信頼など得られないかもしれない。
それでも今は頑張らないと今度は君が潰れちゃうよ。
あなた
あなた
すみません、社長にまで迷惑をかけて……
ただ、今は抱えているものが多すぎる。
大和の事、柊和の事。
それに1番は家の事。
頭がパンクして言ってることもやってる事もおかしくなってるんだ。
小鳥遊音晴
小鳥遊音晴
いや、いいんだよ。
そうやってIDOLiSH7もデビューした。
同じ道を辿っているだけだよ、ひとまず次のスケジュールに戻ろうか
あなた
あなた
はい、
柊和との関係は少しギクシャクしながらもデビューまでの準備を始めた。
すっかり冬が深まる頃には準備を始めてから3ヶ月経っていた。
昼野柊和
昼野柊和
結構準備期間って長いんだな
あなた
あなた
……だな、
本当にデビューするんだろうか。
アイドルなんかやっても大丈夫なんだろうか。
そんな不安が募るばかり。
あの日から大和とともちゃんと話せずにもう2ヶ月も経ってしまった。
昼野柊和
昼野柊和
なぁ、お前なんか不満なの?ずっと怒ってる顔してるし。
あなた
あなた
今、体調悪いからそっとしといて
いつからか、冷たい態度も知らずにとることが出来るようになっていた。
それは柊和だけにではなくIDOLiSH7のメンバー全員だった。
なにか空っぽになって冷たい態度をとって人に不満を持ってもらう事で心は満たされているのだろうか。
昼野柊和
昼野柊和
お前、変わったな。
すんげぇきつい性格、前は素直で可愛かったのにさ。
俺をこうしたのは誰だよ。
きっと柊和でもIDOLiSH7でもない。
俺自身の問題であって、誰も悪くない。
昼野柊和
昼野柊和
なに?また殴られたいの?
あなた
あなた
……やめて、言うこと聞くから
昼野柊和
昼野柊和
ふーん……次はなにを命令しようかな
いつからか柊和に抵抗すれば殴られる、それが習慣になってしまい力では勝てない俺は従うしかなかった。
昼野柊和
昼野柊和
あ、やっぱ気が変わった
柊和が近づいてくる。
大きく手を振りあげ頬を叩かれる。
あなた
あなた
い、た……やめろっ……
昼野柊和
昼野柊和
泣いてよ、俺のために。
俺だけのあなたなんだからさ。
そんなの、嫌だ。
柊和だけの……あんただけのものじゃない。
馬乗りされた俺は身動きが取れない。
ここは事務所、悲鳴さえあげれば誰か助けに来てくれるのだろうか。


ドアの開く音がした。
振り向けば大和が唖然として立っていた。
二階堂大和
二階堂大和
なに、してんの……
あなた
あなた
や、まと……
大和が柊和を思いっきり殴っていた。
馬乗りされていた状態から解放され、苦しい状態から抜け出せた。

二階堂大和
二階堂大和
お前、なにやってんだよ!!
なんであなたがあんな痣だらけなんだよ!
なんで……殴ってたんだよ……
早く助けを呼んでいたら俺はこんな目にあっていなかったのだろうか。
頬がヒリヒリして熱い。
今まで殴られた部分が痛み始めた。
昼野柊和
昼野柊和
うっせぇな……
大和の声が事務所に響いていたのか、万理さんやマネージャーが急いで駆けつけてくれた。
小鳥遊紡
小鳥遊紡
ど、どうされたんですか?
大神万理
大神万理
あなたくん、その痣……
マネージャーが駆け寄り、痣の状態を見てくれた。
あなた
あなた
マネージャー……俺、母を尊敬しないのは間違ってるって。
柊和にそう言われてそう思ったんだ。
小鳥遊紡
小鳥遊紡
そんな事言うのはやめてください……あなたさん自身を否定しているのと同じですよ



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