第23話

不明
805
2018/06/20 11:54
和泉一織
和泉一織
万理、さん……
大神万理
大神万理
あ、一織くんどうしたの?
和泉一織
和泉一織
なぜ、あなたさんが九条天と一緒に車に……?
まずい、一織くんに見られてた。
夜にでも皆に報告しようと思っていたのに。
大神万理
大神万理
……ごめん、あなたくんは小鳥遊事務所を辞めたんだ
その言葉を聞いた途端、一織くんは呆然としていた。
ちゃんと本人の口から聞きたかった言葉のはずなのに。
和泉一織
和泉一織
なんで……なんで、止めてくれなかったんですか!
大神万理
大神万理
そういう訳にもいかないんだよ。
本人の意思がそうであれば辞めることなんていつでも出来る。
僕の言葉に納得がいかなかったのか、事務所へ入っていった。
社長にでも文句を言いに行ったのかもしれない。



·

それから夜、IDOLiSH7のメンバーに夢二あなたが事務所を辞めたと万理さんから報告された。
和泉三月
和泉三月
は……?
逢坂壮五
逢坂壮五
……全然そんな話聞いてなかったのに
四葉環
四葉環
俺たち、裏切られたのか……?
殆どが落胆し、嘘だなんて言葉を並べていた。
その中で1人、大和は何も言わなかった。
和泉一織
和泉一織
二階堂さん、何か知っているんじゃないんですか……
二階堂大和
二階堂大和
なんにも知らねぇよ、俺は
その態度に怒りを覚えたのか、三月が大和を殴った。
空気が静かになり誰も何も発さなかった。
二階堂大和
二階堂大和
っ……
和泉三月
和泉三月
何があったのか知らねぇ……悪いのは大和さんじゃないかもしれない。
けどその態度も言葉も今は嫌いだ。
七瀬陸
七瀬陸
三月……
それでも誰もあなたに連絡しようとしなかった。
きっと怖かったんだろう。
なんと言われるか分からない、そんな不安があった。


·
九条天
九条天
ここが部屋。
殆ど物置いてないから好きに使って。
あなた
あなた
ありがとうございます……
九条天
九条天
ねぇ、なんでここに来たの?
理由によっては追い出すよ?
睨みつけてくる天さんは、陸くんとは全然似てなかった。
陸くんもそんな顔をしているんだろうか。
何も言わなかった俺を皆はどう思っているんだろうか。
あなた
あなた
最初はアイドルとしてデビューしようとしていたんです。
その相方が俺に暴力を振るうようになってデビューはなくなりました。
それから大和とすれ違いが多くなって今ここにいます
九条天
九条天
暴力……
俺の話を聞いて睨みつけていたはずの天さんは優しい表情になっていた。
本当は、優しい人なんだろうと心の底から思った。
九条天
九条天
今はまだ全部話すのは辛いかもしれない。
だけどいつか話してくれるって思ってるから。
まぁ……今日は疲れてるだろうしもう寝ていいよ。
あなた
あなた
え、何かしなくても……
九条天
九条天
いいから、寝てて
ベッドに無理矢理倒された。
おやすみ、と声をかけると天さんはどこかへと行ってしまった。
本当は逆の立場なんだろうけど今日だけは、甘えていいのかな……
あなた
あなた
………ごめんな……
·


この気持ちは誰に向ければいいのか分からなかった。
もやもやして、決して良くなるわけじゃない。
二階堂大和
二階堂大和
頭いてぇ……
目を覚ませば、頭がズキズキと痛む。
恐らく昨日のビールのせいだ。
重たい体を起こして、リビングへ向かう。
いつもみたいに皆の声が聞こえる。
四葉環
四葉環
やべぇ!遅刻する!
和泉一織
和泉一織
もう!早く起きてくださいよ!私はもう行きますからね!
学生組がドタバタと登校していた。
何も無かったようにいつも通りの日常が始まった。

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