第21話

混乱
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2018/06/18 21:40
小鳥遊紡
小鳥遊紡
今日は皆さん久しぶりにオフと聞いたので頂いた差し入れを持ってきました!
マネージャーの手にはたくさんの紙袋。
テーブルに置かれたのは、ゼリーやチョコ。
高い店のケーキ、饅頭などお菓子ばっかり。
そんな中環くんは目をキラキラさせてお菓子を眺めていた。
四葉環
四葉環
うまそ……!
今にもかぶりつきそうな環くんを壮五さんが押さえる。
俺もマネージャーとしての仕事を果たすべく、全員分のお茶を入れることにした。
椅子から立ち上がり、キッチンへ入る。
二階堂大和
二階堂大和
俺も手伝う
あなた
あなた
ありがとう……
大和がキッチンへ来てくれた。
あの日以来、気まずくて話せなくて今も少し怖い。
隣にいると何か言われたりするんじゃないんだろうか。
コップを持つ手が震える。
二階堂大和
二階堂大和
おい、こぼすなよ?
大和が震える手を押さえてくれた。
久しぶりに触れた手は冷たくて冷たくてしょうがなかった。
それと同時に大和の心の冷たさも感じてしまったような気がした。
あなた
あなた
やっ……!
二階堂大和
二階堂大和
なっ?!
気づいた時には遅かった。
大和の手を振り払うと当然コップは床に落ちた。
ガラスで出来たコップは粉々に割れ床にはお茶で濡れていた。
二階堂大和
二階堂大和
たく……何やってんだよ……
あなた
あなた
ごめん……
完全に大和を拒絶している。
コップだってどうだって良かったはずじゃないんだ。
それくらい俺にとっては衝撃的だった。
自分の感情と体が一致せずに、操り人形みたいに誰かに動かされているような。
手にはコップの破片が刺さっていた。
二階堂大和
二階堂大和
大丈夫か?おい、あなた?
あなた
あなた
や、だ……近づくな……こっち見んな……
痛みなんて感じられないほど、混乱していた。
大和は俺にとってのなんなんだ。
味方?敵?
それすらも判断出来なくて、大和を拒絶した。
触れようとする大和を振り払った。
あなた
あなた
はっ……っ、
二階堂大和
二階堂大和
もしかして……俺の事が怖いのか?
あなた
あなた
ちが、だって…おれっ……大和、
二階堂大和
二階堂大和
落ち着け……
大和に背中をさすられる。
これで何度目だろうか。
そんな事も考えながら、呼吸を整える。
二階堂大和
二階堂大和
もう、どうしたらいいんだよ……あなた
あなた
あなた
や、まと……?
二階堂大和
二階堂大和
俺はいない方がいいか?とりあえず出ていく、この寮を
あなた
あなた
なんで……
なんで、こんな事になるんだろう。
大和はもう俺に優しくするのが疲れたんだ。
失望ってやつなんだろうか。
二階堂大和
二階堂大和
わかんねぇよ、近づこうとすれば拒否。離れれば孤独。
俺はもう疲れた。
もうこの関係は二度と回復する事はないのだろうと思ってしまった。
大和が呆れた顔をしてこちらを見ていた。
見放され、失望されるほどの俺ってくだらない奴だな。
二階堂大和
二階堂大和
今までありがとな
ぽんと頭に手を乗せ、お茶を持ちリビングに戻って行った。
そのまま動くことが出来ず、ただ涙を流すのみだった。
あなた
あなた
九条……さん
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