第3話

突然
1,958
2018/05/18 09:33
次の日、IDOLiSH7としての仕事だった。
スムーズに収録を終えて皆で寮に帰るところだった。


九条天
九条天
あ、IDOLiSH7
TRIGGERの九条天にばったり会ってしまった。

リクは喜んで九条に話しかけに行くし、他のメンバーもリクに着いていくし。

二階堂大和
二階堂大和
(こりゃすぐには帰れそうにないな……)
なんて考えながら、皆を待つことにした。

ふと止まったのは高級車。
芸能人か有名人なんだろうとその場をどき、離れながらも乗っている人が気になってしょうがなかった。

使用人らしき人がドアを開け、人が降りてくる。

その顔を見て寒気が襲う。
二階堂大和
二階堂大和
っ……?!
現在も活躍中の夢二 唯愛という女優がいる。
その美貌と人格で芸能界の頂点、いわば女王となったと言われてる人だ。

その夢二 唯愛の息子、夢二 あなた。

俺の幼馴染でもあってこの世で2番目に嫌いだ。


そっと目を伏せ、顔を合わせないようにした。
相手も顔なんて覚えてないだろうから。
あなた
あなた
大和……大和なの?
とか思ってた俺が馬鹿だったか、すぐにバレてしまった。

母親譲りの顔立ちは男にも関わらず綺麗なあなたは俺となんて不釣り合いだ。

それも嫌いな原因の1つに入る。

二階堂大和
二階堂大和
……誰だよ
しらばっくれるように俺はそう言った。

しかし、あなたを見て驚いた。
あまり食べていないのか細い腕に青白い顔。
不健康極まりない。
しかもなんでテレビ局に来てるんだ?
そんな高級車に乗って、母親にでも連れ出されたか?
あなた
あなた
おね、お願い……俺を匿ってよ
二階堂大和
二階堂大和
はぁ?……ってかなんだよこの車。
しかもテレビ局何の用だ?
とりあえず説明しろ、話はそれからだ
あなた
あなた
う、ん……
力のない、返事だった。

使用人と言葉を交わすと再び俺の元へ戻ってきた。
こいつ……こんなに小さかったか?
あなた
あなた
俺……っ
げほっ……げほっ……はーっ……
呼吸が上手くできないのか、喉に手を当て苦しそうにもがいている。

この症状、見たことある____
リクと同じ……呼吸器系の……
なんて根拠の無い決めつけはやめろ。
ひとまず、メンバーに見えない所に移動させ座らせる。
あなた
あなた
ごめ、ん……
二階堂大和
二階堂大和
あんま無理に喋んな、ゆっくり息しろ。
水やるから
涙目になり、苦しそうに息をし始めた。
本当はリクかイチを呼んだ方が良かったんだろうけど、めんどくさい事になりそうだからな……

そっと頬に触れると暖かい。
あなた
あなた
っ……
二階堂大和
二階堂大和
落ち着いたか?
あなた
あなた
ごめん……最近息苦しくなる事が多くなって…よくあることなんだ……
二階堂大和
二階堂大和
よくあることって……病院に行ったのか?
あなた
あなた
……行ってない
ため息をつきたくなるほどめんどくさい事になった。
なんであなたと今更話さなきゃいけないんだ。
昔の事を知ってる人間は嫌いだ。
立ち上がり、想を置いていこうとした。
あなた
あなた
待ってよ、……せめて俺の話、聞いてくれるんでしょ?
服の裾を引っ張り俺を引き止めるあなた。
力なんて全然入ってないはずなのに動けない。
いや、動きたくないって体が反応してる。
こんな弱ったやつを置いていけばどうなるかなんて分かってる。
二階堂大和
二階堂大和
わかった、聞いてやるよ
あなた
あなた
ありがと、やっぱ大和は優しい……ね
二階堂大和
二階堂大和
お、おい!
力尽きたのか、あなたは瞼を閉じ眠りについてしまった。
余計に置いていけなくなってじゃねぇか。
ひとまず、ポケットに携帯か貴重品が入ってないか確認する。
二階堂大和
二階堂大和
こいつ……なんも持ってねぇ……
家の場所知らねぇし、どうすれば……
和泉一織
和泉一織
二階堂さん、もう私にバレてる時点でアウトですよ
後ろから出てきたのはイチ。
いつから聞いてたのか……こいつ……

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