第42話

異議
697
2018/09/07 12:41
あなたが連れ出されて間もない頃。
俺達はやっぱり何も出来なかった。
2回目ということだけあって、誰も何も言わなかった。
二階堂大和
二階堂大和
あのモンスターは止められない。
九条の所へ行く前に引き止めないとな
七瀬陸
七瀬陸
……でも、どうやって
俺以外、もう誰もあなたを助けようとしていなかった。
希望を持つことが出来ない。
和泉三月
和泉三月
もう助けてやれねぇよ……俺たちだってアイドルなんだし、問題も抱えてる。
その言葉に皆顔を合わせていた。
確かに、問題はある。
本当はあなたに構っている暇などないくらいに。
六弥ナギ
六弥ナギ
ワタシもミツキに賛成です。
和泉一織
和泉一織
………すみませんが、私も兄さんと同じ意見です
ナギと一織は、ミツと同じ意見。
やっぱりこんな所でも意見がわかれちまうか。
ため息をつく。
逢坂壮五
逢坂壮五
僕も、この問題にはもう口を出さない方がいいと思います……多分……あなたさんと両親の問題だから……
ソウが控えめに言った。
本当はきっとこんなつもりじゃなかったはずだ。
ただ、普通に仕事をしようとしていただけで。
こんなにも人に振り回されるとあなたは思ってなかっただろうな。
四葉環
四葉環
俺は、あなたちゃんを助けてやんよ。
確かにそーちゃんとかいおりんみたいにこの問題はあなたちゃんが立ち向かわないといけないけど。
おふくろの大切さとか、いなくなった時の寂しさとか教えてやんねぇと独りだから。
タマがそんなことを言うと思わなかった。
思わず目を見開いた。
七瀬陸
七瀬陸
俺は…あなたが大切な人にいつの間にかなっていて今、胸が痛いほど辛い。
それは俺だけかもしれないけどこれ以上九条の好きにはさせたくない。



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夢二唯愛
あなたの本当の父親は、私とは大違い。
顔も普通で性格も控えめ。
ぱっとしない男だったわ。
結婚してあなたを産んだのは私の両親が決めたことよ。
あなた
あなた
決めたって、もう決めてなかったら俺は……
生まれてなかったのか?
この世に生きていなかったのか?
そう思うと震えが止まらなかった。
涙が出そうになる。
夢二唯愛
そう、生まれてなかったの。
あなた
あなた
……じゃあ、俺はいらないだろ?
その婚約者の事を好きじゃないと言っているのなら尚更。
俺は夢二唯愛と、ただの一般人の血が流れてるいらない子。
夢二唯愛
いるわよ。あの男と変わってあなたはとても綺麗なの。
その瞳までも私に似てるわね。
にっこり笑う母さんは、魔女のようだった。
こんな人に似たくもなかった。
優しく髪に触れられる。
長く伸ばした髪は、華奢な俺にはお似合いだ。
夢二唯愛
短い髪だとあの男を思い出すの。
だからずっと長い髪のままで……ね。
女になってほしいとかじゃないんだ、ただ父を思い出すのが怖くて怖くて仕方ないんだ。

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