第85話

4時間目が始まる前
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2020/01/31 07:56
思わず顔がにやけてしまう。




なんでかって?








4時間目のことを思い出したから。
















実は4時間目が始まる前も少し嬉しいことがあったんだ。



















ー4時間目の家庭科 始まる前…。
山本 美月
寒…
あなた
寒いー、、



今は私と美月ちゃんで教室から出て家庭科室へ移動中。



ただでさえ寒いのに、今は風をよく通す廊下。





体育館行く道みたいに、校舎から新校舎に移動するところは外と繋がっている。
















ほぼ外にいる感じ。


でも、外より寒いと思う。














日も当たらないし、建物なので風が入って来るところが限られてる分 風が強い。

風と通し良すぎ…。





寒い寒い…と言いながら新校舎の中へ。
















新校舎の中は さっきの廊下よりは暖かい方が

やっぱり寒いのは変わらない。







家庭科室は暖房を付けないので教室の真ん中では暖房直の私の席も暖かくない。


こういう時に窓側は良い。















ひとつの机に4人が囲むように家庭科室は座るので

窓側から1列目は日向で背中だけ暖かくして座れる。










背中だけ日が当たるというのは羨ましい。











玲くんも窓側から1列目で今、日向ぼっこ中。



手を前に だらーんとさせて うつ伏せ状態。
















玲くんは寒いのが苦手。



私のような症状は出ないが、私より寒く感じるのが早い。



















だから気持ちよさそうに見えて、余計羨ましくなる。









私の手は触らなくても分かるくらい冷たい。


なんでか というと手に冷たい空気が流れてく感じがするから。














こういう感覚は冷たくなってる合図の1つ。


これが長続きすると私は体調が悪くなる。













班の机のとこに荷物を置いて、机の上の椅子を下に置く。













私の同じクラスの友達のところへ移動は主に3パターン。







1つは舞花ちゃんのとこ。




2つ目は美月ちゃん。


















そして、3つ目は







玲くんのところ。














私は窓側の玲くんの ところへ行く。



あなた
れ・い・くん!
青木 怜
んー?





伸ばしていた腕をおって組んだ腕を机に乗せてうつ伏せ。





そして、ゆっくりと顔を上げて 私を見る。



















その行動だけで かっこよく見えてしまう。






青木 怜
なにー?
あなた
さむい





質問に対して何も考えてなかったので とりあえずいまの今の寒さを伝える。




青木 怜
んー?





私が手を当てて、冷たかったからか


一瞬びっくりした玲くん。


















グイッ…














そして













いきなり玲くんは私の手を引っ張った。





そして、引っ張った私の手を 玲くんの両手が包む。












あなた
んぇ?





相変わらず女子らしさの欠けらも無い声である。




まぁ、びっくりしからってのもあるけど…。
































だって、さ。













玲くんが両手で私の手を摩ってくれてるんだもん。





そりゃ、びっくりするよ。












玲くんの手は毎回私の手より暖かい。










さすってくれたおかげで手の変な感覚が治りつつあった。

そして、授業が始まる前には治っていた。






















両手でぎゅっと擦られながら、お話も出来て本当うれしい。






いつもは寒いと言うとカイロを当ててくれたり、何故か腕の下に手を置かれたり

机の上に私の手の上と下にカイロを置いて




温めてくれてたけど。















こういう暖め方は初めてですごく嬉しくて



すごく幸せに思えた。

























私は汗っかきで すぐ汗を大量にかくなぁ

…と思っていたけど、寒いのが苦手で体調崩しやすいとか
























悪いことだらけじゃんって思ってたけど
























今日初めて







冷え症の私の手でも良いことがあったよ


































他の人より劣ってる私の悪いところは   たくさんあって











でも、初めて それ も良く思えたよ。









冷え性な手でも良かったって。






































やっぱり、君は不思議だね。





君の行動ひとつで ここまで私を前向きにしてくれる。

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