保体、技術、家庭科のテストを1時間でやった。
疲れたなぁ。
そんなことを考えながら帰ろうとしていた。
私は1番右の列の前から二番目の席だ。
後ろの扉に行くのがめんどくさくて前の扉から教室を出た。
私は前の扉から教室を出たことを
すぐに後悔することとなった。
その時。莉子ちゃんが私を見た。
なんだろう。今までの感じからして良い話ではない。
綾乃ちゃんは私に 付いてきて というと隣のクラスの前まで移動した。
私は綾乃ちゃんと同じ小学校だったが、良い思い出は1つもない。
だいたい、凛関わりだと思う。
強めの声で言われて後ろに壁だと思うと自然と緊張する。
え?それはちょっとおかしくない、それに
私、怜くんの事すきだから。無理だ。
断らないと…ちゃんと無理だって。
(学校では怜くんの事ほぼ、苗字読みです。)
えぇー。知ってるのかーい…
それにしても、さっきから話が見えない。
え。昔付き合ってたんだよね。
でも、凛が別れたって聞いたら言ってた。
凛と同じクラスの ゆいのん(結奈ちゃん)にも聞いたら、
凛ちゃん?あー。私も気になって聞いたら、付き合ってないよって言ってた〜。
って言われたから。
別れたのになんでそんなにしてるの?
そういえば毎日、廊下を見ると私のクラスを見ると凛がいる。
え。別れてない…?
でも、凛が。
確かに、凛と一緒に告白もしたし、いくつか約束をした。
でも、約束は守っている。
凛とはちゃんと一緒に下校してるし、今まで通り仲良くもしている。
怜くんと仲良くしちゃいけないという約束はない。
それどころか、凛が仲良くしててねと言われる感じ。
どちらかと言うと、守ってないのは凛の方だ。
2人で告白をしたのは言わない約束だった。
諦めれなかったら良いと約束を決めたのは凛だった。
私は言おうとした、でも言えなかった。
綾乃ちゃんが私が言おうとしたら怒鳴ったから。
喋んな!って言ったよね?!って
もう、私は綾乃ちゃんの声が聞こえなくなっていた。
正しく言うと自分の荒い呼吸と頭から聞こえるドクンドクンとなる音がうるさすぎて聞こえなかった。
私は耐えれなくなって綾乃ちゃんに何かを言って走った。
何を言ったかあまり覚えていない、帰るねとかバイバイとか言ったつもり。
でも、その時の私はそんなに余裕がなかったんだ。
綾乃ちゃんと過呼吸の状態で話していたからなのかもしれない。
その後、凛と無言で帰った。
明日は定期(5教科)のテストだったが、そんなの気にならなかった。
そんな時、私を助けてくれたのも君だった。
家には私1人。
電気をつけるのも忘れ、机に寄りかかり泣いていた。
なんで泣いたのかよく分からなかった。
そんなとき、君からLINEが来たんだ。
いつもLINEをしていたから、普通のことだった。
だけど、その時は普通に思えなかった。
しばらくLINEをした。
落ち着いてきて、綾乃ちゃんの聞こえなかった話が少しだけ思い出せた。
もっと体が重くなって感じた。
びっくりした。いつも通り打ったつもりがそうじゃなかったらしい。
おもわず、甘えたくなってしまった。
君の優しさに。
私と怜くんはちょくちょく電話する。
だから怜くんにとっては気にならない出来事かもしれない。
そう思うと少し胸がキュッとなって感じる。
気づいたら電話がきていて、私は慌てて出た。
なんでだろう、収まってきたはずの涙がまた溢れてくる。
やだなぁ。せっかく怜くんと電話してるのに…。
私が鼻をすする音が聞こえたのか、怜くんが心配してくれた。
うんって言いたい。
ありがとうって言いたい。
でも声出すと、さっきと違うってばれちゃうから。
もっと泣けてきちゃうから。
でも、電話してるから…。
私から誘ったから…ちゃんと言わないと。
それから、綾乃ちゃんに言われたことを聞いてみた。
実はあの時言われたんだ。
『青木だって、迷惑してるんだから!あなたちゃんが話すもんでっ』
…と、聞こうか迷ったけど。
怜くんなら言ってくれるって思ったから。
聞こうと思うとさっきよりも涙が出てきて
声が揺れてくる。
自分で言っといてあれだけど、言うと余計傷つく。
心臓の音が早くなって感じる。
言葉ストレート過ぎたかなとか、変なところまで気になってしまう。
でも、今は思ったことをそのまま言う事しか出来なかった。
怖い。好きな人にこんなことを聞いて、場合によっては私…
君にそう言われると、嘘かもしれないけど
信じたくなる。
信じてしまう。
嬉しくなってしまう。
君は私に魔法をかける天才だ。
そのあと、色々なことを話した。
明日は定期テストだから、公民で憲法覚えた〜?とか
猫語なら言える!とか変なことも話した。
さっきまでのことは嘘かのようだった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。