教室に着き、すぐに君のところに行った。
周りからしたら、もう私が怜くんのことが好きなのは 丸わかりかもしれない。
次の時間は掃除。
男子は学ランを脱いでワイシャツと半ズボンでやる。
女子はスカートを脱いでネクタイを取った格好が掃除をする格好。
怜くんは椅子を机の上に乗せ、机の中を覗き込んでいる。
と言って振り返る。
私は3つのカイロを手につかみ、怜くんに見せる。
どれが自分のか当てるといシンプルなゲーム。
ゲームと言っても、どれが怜くんのでどれが私のかは 丸わかり。
私のが白いカイロにオレンジの文字が書かれていて
怜くんのには書かれていない、真っ白なカイロ。
私は怜くんの言ったカイロを怜くんに渡す。
だって、寒い寒いって同じ班だった時。
よく、私のカイロ奪ってたからね。
ゼル亭は、たぶん男子のあだ名。
いつも怜くんの後ろに座ってる子…たぶんだけど。
正直、怜くんばかり気にしていて男子の前後 誰とか覚えてなかった。
これ他の子からしたら結構失礼だよね…ごめんなさい。
女子の場所なら意外と覚えてるんだけどなぁ。
莉子ちゃんが私の前で美月ちゃんが私の2個前、舞花ちゃんは私の後ろ。
うん、完璧…!
いつもじゃんw
怜くんは集会が終わると気持ち悪くなったり、頭が痛くなったりする。
体育の前も ときどきそうだけどね。
そろそろ 吐きそう とか言い出す頃かな。
え。集会中って初めてのパターンだ。
結構きてたんだなぁ、大丈夫かな。
たしか昨日の集会、他のクラスの男子お腹痛くなってトイレに駆け込んでたなぁ。
私の学校の体育館の集まり系って結構危険なのかも。
寒かったなぁ〜を連呼する怜くん。
怜くんがいいって言ったじゃんw
と思いつつ、怜くんが無理をしてるのは知ってたので とりあえず謝罪。
怜くんが今、掃除の格好って言うのもあって本当に寒そうだ。
おっと、急に質問された。
足は冷えたけど、怜くんのおかげで全然大丈夫!
足の温め方があったら教えて欲しい…できれば、体育館シューズ脱がないやつを。
体育館行く前は 死なないでよー くらいだったのに。
今はちゃんと心配していたって言ってくれた。
一応だけど…
これだけで喜んじゃう私って、やっぱり単純なのかなぁ。
でも、正直に言うのは恥ずかしくて。
つい照れ隠しをしてしまう。
本当は満足しちゃってるけど…
正直に言うのは まだ抵抗がある。
でも、いつか。
君に素直になってせるから。
覚悟してよね
君の横顔を見ながらこっそり決めた、秘密の目標。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。