カリムsid
俺はアジーム家の長男
もう毎日毎日毒の入ったご飯を食べるのが嫌になってきた…
いつもジャミルが支えてくれた
そんな毎日だったけど、今日は休みの日らしい
だから、ジャミルにも家の奴にも内緒で外に出た
抜け出すのにちょっと苦労したけどな!
ウロウロしてたらいつの間にか薄暗い所にいた
カツ…カツ…
俺はとにかく走って走って走りまくった
2人くらいの男がどんどん近づいてくる
誰か…誰か助けて!
俺は必死にさけんだ
路地裏に逃げ込んだつもりが…
やばい、追いつかれた!!
もう無理だ
助からない、俺は殺されるのか?
内緒で来るんじゃなかったな…ジャミルと一緒に来るべきだったかな…
そんなことを考えてると、上から…
強烈な蹴りを2人のうち1人の顔面に思いっきり入れた
誰だ?
女…なのは分かる
俺をじっと見て何かを考えてる目の前の姉ちゃん…
何をされるのだろう…
え…?
あいつらに言った言葉に俺は驚いた
俺を守るようにしながら言った
!!危ない!
この人は、関係ないのに…!
俺は前に出ようとしたら
!!や、ヤバっ!!マジで死んじゃ…!
あの人の回し蹴りが当たって後ろに吹き飛ばされ、起き上がろうとしていたもう1人にも当たって吹き飛ばされた
すごい。これしか思わなかった
かなりの腕の暗殺者をいとも簡単に倒したのだから
俺は落ち着いたところであの人に話しかけに行った
興奮状態のまま
俺は突進して後ろから抱き着いた
改めて聞くと、綺麗な声してるなぁ
こんな簡単に名乗っちゃいけないけど、この姉ちゃんなら大丈夫な気がした
俺の感ははずれないからな!!
まさか連絡してたなんて…
さっきよりも増えたし…
しかも勘違いされてる…やっぱり俺が関わったから…!
こんな時、ジャミルがいたら…
でも今はいない…なにをすればいいんだ?
俺が混乱している中、あの姉ちゃんは優しく声をかけてくれた
多すぎる…?この前の3人以外の気配も感じ取ったってことか!
どうしたんだ?
一旦退くといって、俺を片手で軽々と抱き上げた
地面から屋根にジャンプした!!
かっけぇ!!しかも屋根の上走ってる!!
この姉ちゃん走るのすげぇ速ぇ!
風になったみたいだ!
《どっか広い荒野みたいなところ》
後ろには誰も見えない…逃げきれたのかな?
安心していると…
え?
しかも全員じゃねーか!
え、まさか一気に来るつもりなのか?
そんなの、いくらこの姉ちゃんが強くたって…!
せっかく助けてくれたけど、俺は姉ちゃんを死なせたくない!
優しく頭を撫でたあと、ワシャワシャと撫でた
俺はその言葉が心に響いた
信じろ…か
俺が一番好きな言葉だ
そう思ってると姉ちゃんが戦い始めた
ボォォォ
黒い炎が現れ、敵の半分ほど一気に減った
黒い雷がふってきて、あっという間に残りの奴らも倒してしまった
男はナイフを姉ちゃんの顔目掛けて刺した
でもそれを余裕でかわした
そんな怒らして大丈夫なのかな…
いや!大丈夫だよな!!信じろって言われたんだから信じないとだよな!
俺は一瞬たりとも目を離さず、必死に見ていた
この姉ちゃん、ジャミルよりも強いぞ!!絶対!
もうお別れ…もっともっと一緒にいたいな
もっと俺といたかった…
それを聞いて俺は嬉しかった、心がポカポカしたんだ!
何も言わずに出てきたし、今はもう夕方だし
絶対今、みんな俺の事探してるんだろうな
ジャミルにも内緒に来たし…帰ったら多分、いや、絶対怒られるんだろうなぁ
『カリム!!』って言って来るんだろうな
でも、まだリムルと別れたくない…
迷っていると
指で俺のおでこをコツンってされた
ちょっと痛い
リムルの顔が近くなって
この瞬間、初めてリムルの顔が見えた
とっても綺麗な女性
宮殿の女より、どんなに綺麗な女よりも、リムルの方が断然綺麗
まだ、顔が熱いな…///
《アジーム家の近く》
こんな気持ち初めてだ
もしかして、これが『恋』ってやつなのかな
誰にも渡したくない、俺だけのものにしたい
そんな気持ちが湧き上がってくる
だから俺は、思い切って…
いわゆる、『告白』ってやつ!
こっちもドキドキするな!
リムルも混乱しているようだった
しょうがないじゃん!俺も、こんなの初めてだし…
でも、俺はまだ子供で…まだまだ小さい子供
きっと断られるだろうな
分かってたけど、ちょっと悲しいな…
Yesとは言ってない。けどNoとも言ってない
多分、あっちはからかってるんだろうけど、俺は本気なんだ
見てろよ、リムル!
俺が今より大きくなったら、絶対俺のお嫁さんにしてやるんだからな!
もし、ジャミルに知られて、ジャミルとライバルになって、他にもライバルが沢山いたとしても
絶対負けねぇ!
そう。
これは、俺
カリム・アルアジームの
『初恋』のお話
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。