腕時計を見ると出撃まであと40分を切っていた。
戦場までは20分はかかるからな...
早く直さないと...
残り25分になると、突然直った。
「ブルル...」
エンジンが唸り声を上げた。
車を走らせる。
荒野を走る。
道端には車の残骸が横たわっている。
この道はいつの間に創られたのだろうか...
何度も何度も車が走り続けて創られた道なのだろう。
これは希望の道なのだろうか?
「戦いを終わらせたい」「生きて帰りたい」「もう一度、大切な人と会いたい」そんな希望で作られた道なのだろうか...?
時が1分、2分、3分と過ぎていく...
だんだんと絶望の道になっていく気がして、ハンドルを握る手が震えて来た。
出撃前には、元気に話していた仲間も今は怯えているようだ。
車を降りると、何も無かった。
本当に戦場なのか?
自分の目を疑いたくなった。
続々と車が到着する。
人が降りて来て、空を見上げる。
綺麗な青空だ...
冷たい風が頬をなぞる...
別の隊の1人が声を上げた。
「なんだ!あれは!」
そして空を指さした。
俺は空を見上げた。
黒点が近づいてくる。
見た感じではあまり大きくなさそうだ。
俺はスコープを用意して黒点を見てみた。
「ゴゥンッ...」
轟音が響き渡った。
青空が一瞬で地獄と化した。
押し潰された者、衝撃波により吹き飛ばされた者...
続々と地球外生命体が出てくる。
中には落下の衝撃で血を流している地球外生命体も居た。
壊れた箱の隙間から時計をつけた人のような手がちらりと見える。
動けなくなった人達を撃っていく...
そして目の前に現れた。
そして銃口を俺に向けた。
そして引き金を引いた...
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!