健人side
声をかけた彼女はとても綺麗で。
つやつやの髪、
真っ白な肌、
くるんとしたまつ毛、
ほんのり赤い唇。
ただ、、
泣いている彼女は、悲しい目をしていた。
そして、すぐさま俺に警戒の眼差しを向ける。
そんな彼女がどうにも
放って置けなくて、、
無視したらそのまま消えてしまいそうな。。
気付いたら手を取っていた。
彼女は驚いた顔をする。
そんな顔さえ、可愛いと思ってしまって。
こりゃ完全に落ちてるなぁ、
なんて呑気に考える。
好きになったかも、って考えて、
ぼーっとしてたなんて
口が裂けても言えない…///
彼女は少し言いにくそうにした後、
決心したように口を開く。
言葉を失った。
もっとこう、、
違うのかと思った。
彼氏にフラれたとか、捨てられたとか。
そういうのなら、
励ましてでもあげられたのに。
事情はどうであれ、
その辺にいる女の子より
事の重さが違うと、俺でもわかった。
やっとのことで絞り出した言葉は、
震えていて頼りなさげだったと思う。
そんなにパッと、
言える事情でもなかったのだろう。
彼女が去って行く足音がした。
ここで、引き止めないと。
そうでないと、
どこか悪い方に行ってしまいそう。。
さっき感じた焦燥感を覚え、言葉を探す。
彼女は、とてもゆっくりと振り向いた。
そんな悲しい顔をしないで。
君の笑った顔が見たいんだよ、
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。