▲あなたサイド▲
夜中の1時半。
眠れない。
自分の腕につながれているチューブを
ただただ見ていた。
なにもかも、まったく思い出せない。
ううん、ちがう。
なにか大切なものを忘れているのは分かるんだ
けど、その大切なものが分からない。
いくら思い出そうとしたって苦しくなるだけだ
った。
気をまぎらわせるために私はYouTubeを聞こう
とアプリを立ち上げる。
適当におすすめに出てきたBTSっていうひとた
ちの動画をおしてみた。
♩♬~
心地よい音楽が流れる。
あれ、この歌知ってる。
そのとき、
ポタッ
チューブが繋がっている腕にしずくが
落ちた。
あなた「やだ、なんで?」
それは私の目から落ちたもの。
悲しくないのに。
涙があふれて止まらなかったんだ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。