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第2話

奇跡
9
2020/01/02 16:58
「あれ?結、勉強してるの?」

この子は友達の華名(かな)

「あぁ、うん」

「結が受ける高校って名前書けば入れるとこじゃなかったの?」

「やめた。気になる人が出来たから」

「高校体験でなんかあったんだ?それでその人と同じ高校に通いたいんだぁ?応援するね!」

「ありがとう」

結の学校は高校体験が10月だったから受験まではまだ長い

もう1ヶ月も会えてないなぁ

優哉さん…会いたいなぁ

――――――――――

「結〜一緒に弁当食べよ〜」

「うん!食べよう。」

「ねね、放課後さ駅の近くのゲーセン行ってみる?」

「え?なんで?」

「あそこ高校生たむろ結構するらしいよ」

会えない確率の方が断然高い

分かってたけど少しの可能性に賭けてみたかった

「行く!」

――――――――――

「なんで健…?」

「いいだろ別に」

「ほら!行くよ!2人とも!」

ゲーセンに入ってから2時間くらい経ったかな

高校生は入ってくるけどそこに優哉さんの姿はなかった

「ごめんね、2人とも。もう帰ろうか」

「うん…」

出口に足を向けたその瞬間

高校生3人が入ってきた

その真ん中には…

「優哉さん!!優哉さんだ!」

「え!?」

「行ってくる!」

「おう!」

タッタッタッタッタッ

「あっあの!」

優哉さんが私を見る

「っと〜ごめん。誰だっけ?」

「この前高校体験で褒めてもらって…」

「あー!あの上手かった子ね!覚えてるよ!」

「ほんとですか!?優哉さんでしたよね」

「うん。優哉だよ。渡部結…結?」

「あ!はい!結です!」

「ふふっよろしくね。俺友達待たせてるから、じゃあね」

会えた…奇跡だ

――――――――――

「結!話せたの?」

「華名!!!うん!話せたよ!」

「連絡先は?」

「健のバカ。もっと早く言ってよ」

「忘れたんかーい」

あぁやってしまった。絶対もう会えないよ

こんなの奇跡だもん

奇跡が2回起こるわけないもん

最悪だ…

「もしまた会えたら、その時はちゃんと言う」

「帰ろうか」

「うん」

奇跡はここで終わらなかった



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