翔の言葉には本当に驚きました。私たちが感じている現象を信じてもらえないというのは不思議なような、悲しいような、そんな気持ちでした。
花乃はそう言いますが、なんとなく嫌な予感がしました。
ーその夜
いつも通りの夜を過ごし、私も少し早めに寝ることにしました。
『ミシッ…ミシッ…』
夜中、ある音で目が覚めました。そしてそれが間違いなく階段を降りる音だと分かったのです。横を見ると翔の姿がなく、父や母や花乃は全く起きる様子がありませんでした。
私は階段の方に声をかけてみました。しかし階段を降りる音が止むような気配はありません。私は翔を追いかけ階段を降りることにしました。
他の3人をを起こさないようにゆっくり降りていくと翔の姿が見え、また声をかけました。すると翔が階段を降りるのをぴたっと止めました。まるで時間が止まったような感覚でした。私は翔に近づき肩を叩きました。そして翔がこちらを振り向くと、
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!