第2話

シルクの日常
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2018/11/20 14:12
この世界には、【超能力】を持つ者が存在する。その力は、世界を救うのか、それとも滅ぼすのか...全ては"彼ら"次第だ。
だが、"彼ら"はまだ、その力の強大さ知らない。

...迫りくる【闇】の恐怖さえも。

気づくと、目の前は火の海になっていた。周りには煙を吸いすぎて倒れた仲間や、水の能力をもつやつが必死に嫌いな能力を使って火を消している。
自分を見てみると、その両手はあたりを燃やしている原因の炎を纏っていた。
『シルクっ!落ち着こうっ!?』
仲間のひとりが俺に向かって話しかける。
『落ち着きたいけどっ、、、!!』
口が勝手に動く。嗚呼、これは夢の中なんだとそこで気づいた。確かにこの時は焦りと怒りの混同でまともに何も考えられなかった。
頬に水がかかる。あいつもがんばって消してくれているが到底暴走した俺の出しているかなりの量の炎に素面のやつが適うはずもなく、ただただ焼け焦げていく。あいつの頬は煤だらけだ。

一瞬にして辺りの景色が変わる。
今は真っ白な世界に俺と同じ顔のやつが立っていた。
『まだ、そんなこと覚えてんのか。w』
馬鹿にしたように笑われる。
『そんなことばっかり覚えてるからお前は弱ぇままなn』
『うるせえっ!!!!』
びっくりした俺の顔が見える。しかしそれは一瞬で、また口の端が怪しげに上がる。
『俺はっ、俺は、、、1人で強くならなくちゃ意味が無いんだよ、、、!!』




ふと意識が覚醒する。どうやら眠ってしまっていたらしい。
この夢を見る度に後悔がつのってしまう。
もし、みんなと一緒に戦って、能力が暴走してしまったら?また、みんなを傷つける。
だから、俺は1人で強くならなくてはならない。
これは、俺自身への戒めでもある。

今、目の前には俺と同じ顔のやつがいる。
深刻そうな顔をしては決意を固めたような顔になるため、どうせあのことを思い出してるんだとすぐわかる。
『まだ、そんなこと覚えてんのか。w』
何も反論がないのでそのまま言葉を繋げてみる。
『そんなことばっかり覚えてるからお前は弱ぇままなn』
『うるせえっ!!!!』
急にでかい声で言われ、びっくりしてしまったがやはりこいつは弱いんだと思いどうしても口角が上がってしまう。
なにかをぼそぼそと呪文のように言う俺は、まさに弱さの象徴だ。仲間がいないから。
『そんなこと自分に言い聞かせてなんになるんだよww』
俺は俺を罵った。

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