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第1話

出会い
24
2019/05/12 09:00
 きっかけは些細なことでした。授業の終わりに消しカスを丁寧に手で集めてゴミ箱に捨てに行くあなたの姿。そんな後ろ姿を見てわたしはあなたを好きになりました。

思い返してみれば可笑しくて笑ってしまいますよね。消しカスを捨てに行く姿のどこに好きになる要素があるのか。自分でも不思議に思います。しかし、あの時のあなたの一つ一つの動作、仕草がわたしにとってはとても愛しく思えたのです。

まだ話したこともなかったあの日、帰り際にさりげなく振ってくれたあなたの右手を今でも覚えています。目が合い、恥ずかしさから声にならなかった、あなたの”さようなら”

その儚さがわたしを虜にしたのです。

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