第31話

Thirty
4,319
2021/11/13 09:15




翌朝私とミナの目を覚ますのは、リビングから聞こえてくる誰かの怒号だった。




その怒号に飛び起きて、急いでリビングへ向かうと目の前に出てきた光景は衝撃的な物だった。




ツウィが、食事に使ったお皿を割ってしまったみたいで。




それを見ていたサナとモモに怒鳴られてるらしい。



あなた
ちょっと…大丈夫?怪我は?
サナ
サナ
ツウィが割ったんやで。うちら関係あらへん
ツウィ
ツウィ
怪我、はない…です…
あなた
そっか…それならよかった。これ片しとくから、先部屋戻っていいよ
ツウィ
ツウィ
でも…それ誰のお皿かわからなくて…
あなた
ん、これ私のだから大丈夫。また新しいの買うから安心して?
ツウィ
ツウィ
っ…ご、ごめんなさい…
あなた
気にしない気にしない笑 今度一緒に新しい物買いに行こう?
ツウィ
ツウィ
あ、りが…ございます…
モモ
モモ
あ〜あ…優しいなぁ天下の大スター様は
あなた
…ミナ、ジヒョ起こしてきてくれる?
ミナ
ミナ
へ?わ、わかった...
サナ
サナ
何?また説教でもする気なん?
あなた
……朝ごはん。なんでもいいね?
モモ
モモ
…は?べ、別にええけど…
サナ
サナ
そこやないやろ?普通はもっとこう…
あなた
...恥ずかしくないの?無関係なメンバーにまであんな態度。
あなた
ましてや自分の皿でもないのに責め立て、手伝いやしない...そんなんじゃ、ステージ立てないね
サナ
サナ
...そ、それとステージは関係あらへんやろ
あなた
ほんとに?関係ないの?
モモ
モモ
どうやって関係すんねんこれとそれが
あなた
...よく考えなよ。誰と一緒にステージに立つのかを





困惑した表情を見せる二人をまたしても無視して。




キッチンへ向かえばダヒョンが何故だかそこに隠れるように座り込んでいた。




私を見ると一瞬肩を上げたものの、私だとわかったのかふと安心したような表情でおはようございますと。




…何があったの?



あなた
ダヒョナ、何があったの
ダヒョン
ダヒョン
…サナオンニとモモオンニが…怖くて…
あなた
…そっか。ごめんね、昨日から怖い思いさせちゃってたね
ダヒョン
ダヒョン
オンニは悪くないですよ…謝らないでください
あなた
何かあったらすぐ私に言って。ね?
ダヒョン
ダヒョン
…ありがとうございます…
あなた
じゃあ、一緒に朝ごはん作ろっか
ダヒョン
ダヒョン
...はいっ!





…なんで、私以外のメンバーに当たるんやろ




ほんまに頭のネジ3本くらいイカれてるんちゃう




少し表情の柔らかくなったダヒョンに手伝ってもらいながらも鶏粥を作る。




当然メンバー分を作って。作り始めてしばらくするとあの二人以外のメンバーが全員キッチンに集まっていて。




賑やかになってきたところでナヨンオンニが少し真剣な顔をして話し始めた。



ナヨン
ナヨン
あなた、ちょっと頼まれて欲しいことがあるの
あなた
どしたの?
ナヨン
ナヨン
あの二人と私とジヒョとジョンヨン以外の全員を連れて、どこか出掛けて欲しい
あなた
元々出かけるつもりだったからいいけど...三人は?どうするの?
ジヒョ
ジヒョ
私達で、あの二人を説得する。帰ってきたら二人と話して欲しい
あなた
ちょっとやそっとじゃ聞かないと思うよ
ジョンヨン
ジョンヨン
だから無駄に刺激しないように私達とあの二人だけにしてほしい。
あなた
…まぁいいけど。
あなた
全員私の車に乗れるかな…
ミナ
ミナ
後部座席三人乗れるんちゃうかな
あなた
…そっか。わかった。これ食べたらすぐ出るよ
ナヨン
ナヨン
ありがとう…




随分と真剣なナヨンオンニの表情はSIXTEEN以来のものだった気がする。




流石のオンニ組もあの二人のあの態度には黙っていられないようで、私と話しているその目の奥に怒りが見えた気がする。




鶏粥を作り終えて、あの二人の目の前に置いて。




全員でいただきますをして私たちお出かけ組は急いで食べ終えて。




あの二人は何が何だかわからないような表情で必死に私に皮肉をぶつけてくるけど。




正直こっちはそんなことどうでもいいほどに気が気でならない。




いつこの四人が泣き出すかわからないから。




お出掛け前に泣かれたらもうその雰囲気から抜け出せない気がする。




急いで食べ終えたら片付けをして、私たち五人分の洗い物は全て片付けてから各々が自分の部屋で化粧やら着替えやらの準備を始める。




私たちの機敏な動きに驚く他ない二人は流石に戸惑いを隠せないようで、ナヨンオンニ達にどういうこと?と聞いている。




そんな二人…と三人を置いて。準備のできた私たちはリビングを通って玄関へ。




玄関にはジヒョがわざわざお見送りに来てくれた。



あなた
じゃあ、行ってきます
ジヒョ
ジヒョ
気をつけてね。事故とか起こさないように
あなた
大丈夫だよ、流石に。そっちも気をつけてね。
ジヒョ
ジヒョ
うん…やれることはやるよ。じゃあね
あなた
うん。今日は夜まで帰らないかも
ジヒョ
ジヒョ
わかった、伝えとく。





なんだか危ないことをしてるような錯覚に陥る。




こんなに切迫した気分なのはきっとこれ以上にないくらいに急いだから。




そう思い込んでから、他の四人を連れて私の車へ案内する。




私の洗車された車を見て感嘆を上げている四人に乗り込むように促すと、意外とすんなり席が決まったようで。




ツウィが助手席、他三人が後部座席という形になった。



ミナ
ミナ
今日どこ行くん?
あなた
…束草行こっか
チェヨン
チェヨン
束草!?真反対ですよ!?
あなた
だから朝早く出たかったの笑 こんな時くらいすっかり忘れて楽しみたいでしょ?
ダヒョン
ダヒョン
オンニ…最高です!
あなた
それはよかった。しばらく座り続けるから、辛くなったらいつでも言って
ツウィ
ツウィ
オンニもあんまり無理しないでくださいね
あなた
ん、ありがと





テンションの高めの四人を乗せて、アクセルを踏み込む。




…あの三人に、何かお土産を買っていってあげようか




…二人にも、もし話せるようになっていた時、何か渡せるように。











































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