翌朝私とミナの目を覚ますのは、リビングから聞こえてくる誰かの怒号だった。
その怒号に飛び起きて、急いでリビングへ向かうと目の前に出てきた光景は衝撃的な物だった。
ツウィが、食事に使ったお皿を割ってしまったみたいで。
それを見ていたサナとモモに怒鳴られてるらしい。
困惑した表情を見せる二人をまたしても無視して。
キッチンへ向かえばダヒョンが何故だかそこに隠れるように座り込んでいた。
私を見ると一瞬肩を上げたものの、私だとわかったのかふと安心したような表情でおはようございますと。
…何があったの?
…なんで、私以外のメンバーに当たるんやろ
ほんまに頭のネジ3本くらいイカれてるんちゃう
少し表情の柔らかくなったダヒョンに手伝ってもらいながらも鶏粥を作る。
当然メンバー分を作って。作り始めてしばらくするとあの二人以外のメンバーが全員キッチンに集まっていて。
賑やかになってきたところでナヨンオンニが少し真剣な顔をして話し始めた。
随分と真剣なナヨンオンニの表情はSIXTEEN以来のものだった気がする。
流石のオンニ組もあの二人のあの態度には黙っていられないようで、私と話しているその目の奥に怒りが見えた気がする。
鶏粥を作り終えて、あの二人の目の前に置いて。
全員でいただきますをして私たちお出かけ組は急いで食べ終えて。
あの二人は何が何だかわからないような表情で必死に私に皮肉をぶつけてくるけど。
正直こっちはそんなことどうでもいいほどに気が気でならない。
いつこの四人が泣き出すかわからないから。
お出掛け前に泣かれたらもうその雰囲気から抜け出せない気がする。
急いで食べ終えたら片付けをして、私たち五人分の洗い物は全て片付けてから各々が自分の部屋で化粧やら着替えやらの準備を始める。
私たちの機敏な動きに驚く他ない二人は流石に戸惑いを隠せないようで、ナヨンオンニ達にどういうこと?と聞いている。
そんな二人…と三人を置いて。準備のできた私たちはリビングを通って玄関へ。
玄関にはジヒョがわざわざお見送りに来てくれた。
なんだか危ないことをしてるような錯覚に陥る。
こんなに切迫した気分なのはきっとこれ以上にないくらいに急いだから。
そう思い込んでから、他の四人を連れて私の車へ案内する。
私の洗車された車を見て感嘆を上げている四人に乗り込むように促すと、意外とすんなり席が決まったようで。
ツウィが助手席、他三人が後部座席という形になった。
テンションの高めの四人を乗せて、アクセルを踏み込む。
…あの三人に、何かお土産を買っていってあげようか
…二人にも、もし話せるようになっていた時、何か渡せるように。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。