しばらく走り続けていると、私以外の三人はすっかり眠ってしまっている。
朝のあの重苦しい雰囲気から解放されて気が抜けたのか、腑抜けた顔で眠っていて少しだけ安心している。
…なんか変だよな、あれだけのことであんなに過敏な反応を見せるなんて
ただ単に仲直りしただけだって言うのに。まぁただ単と言えるかはわからないけど…
なんであんなに怒ってるのか正直よくわかってない。こんなこと本人たちに言ったら多分怒られるけど、無関係者なのに。
どうしてそこまで干渉したがるのか?仲間意識が激しいじゃ済まされるレベルの態度じゃない。
考えれば考えるほど頭がごちゃごちゃになる。
もうなんかほんとにあの二人なんであんなネックになんやろ
山林を走りながらもそんなことを頭で考える。今ここにいるのはリフレッシュするためだというのに。
少し疲れた気がして、近くのSAに停める。携帯を手に取るとジヒョから何通か連絡が来ていて、わざわざ状況を伝えてくれているみたい。
私たちはどこに行ったのかとか、なんであんなに焦っていたのかとか。どうでもいいことばかり聞いてきて話にならないと。
…あの三人が心配になるけど、まずはこの四人からどうにかしないとな。
ナヨンside___
...なんでこんなに話が通じないのかしら。この二人
さっきからあなた達の行先ばかり気にして私達の話は全く耳に入ってない様子。
ジヒョもジョンヨンも私も。想像以上に話を聞かないこの二人にそろそろキレそう。
なんだってヨヌさんとあなたの関係にそこまで介入したがるのか分からないわね
結局私達にはもう何もしないって言ってるし、私達があの二人に口出すことは出来ないはず。
それをこの歳にもなってまだ分からないの...?
ジヒョが怒りながら泣くなんて、相当我慢してたのね
ジヒョの涙を見た二人はどこかハッとしたような表情を一瞬見せて、私と目が合えばまたすぐにさっきの態度と同じ目をして。
...この二人はまた...なんて子供っぽいのかしら笑
泣き出してしまったジヒョの背を摩りつつ、ジョンヨンと二人の出方を待っていると
ジョンヨンが突然立ち上がって部屋を出て行ってしまった。
...最悪ね、この雰囲気
少しふらつきながら立ち上がったジヒョを部屋に戻らせて、ココアを入れてからジョンヨンを呼び出してジヒョに持っていかせる。
こういう時ばっかりは自分が最年長だと思い返されるわ...笑
ジョンヨンが唇を噛み締めながら、ほんとに大丈夫?なんて聞いてくるから思わず笑ってしまって。
一番大丈夫そうじゃない子にそんなこと聞かれたかないわよ笑
そう返すとふっと緊張が緩んだのか、ごめんね、力になれなくて。とジヒョの部屋へと戻って行った。
さて...意固地な妹達をどう調理しましょうか
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。