兄さんが死んだ
私が3歳の時に兄さんの友人から言われた言葉
私を地獄に突き落とした言葉
兄さんと一緒にヒーローになるって約束した
インターンから帰ってきたら一緒に遊ぶって約束した
いっぱいいっぱい約束した私を地獄に突き落とした言葉
今でも忘れられない
父さんと母さんの泣いてる姿
消太さんとひざしさんの泣いてる姿
……………泣けなかった私
悲しくて悲しくて仕方が無かったのに涙が出なかった
きっと何処かでひょっこり出てくると思ったのかもしれない
その後暫くして私は公安に入らないかと聞かれた
はいと答えた
……普通に過ごしていた日々も
憧れていたヒーローを見ていても
カラフルで綺麗だった世界は白黒になった
何をしても楽しくなくて
ただただ朝起きて学校へ行って公安の仕事をして寝ての繰り返し
何か物足りない気持を押し殺して
ヒーローへのあの憧れを殺して
全部全部我慢して
兄さんが居ない事を忘れようとしてた
高校は雄英に行った
折角忘れようとしてたのに
兄さんの級友に会った
兄さんの暖かさを持った敵に会った
馬鹿馬鹿しい
兄さんはもう居なくて
あの二人も黒い霧の敵も関係無いのに
期待してしまう
苦しくて苦しくて仕方がない…
嗚呼…兄さん…
何故…死んでしまったの…
兄さんがいない日々は詰まらない…
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!