記憶にあるのは
不審者の様な見た目の人に助けてもらった愚兄と
禪院という家に売られたのが一番古い記憶だと思う
真希と言う人と真衣と言う人が姉になった
優しくしてくれて
恵と同じ十種影法術を持っていた私は褒められた
真衣姉さんと真希姉さんは家族から苛まれていた
それでも私は姉さん達が大好きで側にいた
三人で一緒ねって言ったのに
………真希は家を出た
真衣は私を避けた
養子の私が十種影法術を持ってるから
愚兄も愚姉達も恩人が側にいた
……………恵は売られなかったのに私は売られた
……………真衣と私と一緒に居るって言った真希は離れた
……………真衣は私を避けて独りにした
なんで
なんで
なんで
なんでッッッ!!!
血縁者の兄も、親戚の姉等も救われたのに
私は縛られてる!?
ただ十種影法術を持ってただけなのに
ただ生まれただけなのに
知ってたよ真衣も真希も私を何処か避けてるの
でも…でもさぁ…可笑しいじゃん
私は売られたくなかったのに
私は独りになりたく無かったのに
御父様に直哉兄さん
私を如何見てるか知らないけど構ってくれる
でもたまに思う
呪術師なんて
呪霊なんて
存在しなければよかったのに…!
嗚呼
もう少しで交流会だ
……3人は私の事覚えてるかな
一応呪術高専に入るんだけど
関わりが無いからね
覚えてなくてもいいけど
禪院家の時期当主は
私か直哉兄さんで決まってるから
今更如何でもいい
直哉兄さんも私も同意している
彼は私の事だけは特別視してくれたから
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!