第247話

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2021/01/11 01:20
私はあの日

すべてを捨てた

曇天の日に3人の義兄に待ってろと言われた

私は嫌な予感がして初めて我儘を言ったことを今でも覚えてる

もう3人が一緒にいる事はないような

そんな予感がしてた

暫く基地のような場所にいるとふと私の心が欠けるような感覚があった

嗚呼

彼が

松陽が死んだのだと

直感で分かった

彼等が帰ってくることは無かった

一日

一週間

一ヶ月

半年

もう待っているのに疲れて

期待する事を辞めて

私は基地を出て

色々な場所を回った

松陽は赤子だった私を連れて天導衆から逃げた

まだ一歳にも満たない私をだ

いつしか私は松陽といる事に幸せを覚えてた

そんな記憶は奥底にしまって

私の小さな小さな夢に蓋をして

私は何かを埋めるように

悪人を切って切って切って

それでも松陽を思い出して泣いた

こんな時彼なら叱ってくれる

こんな時彼なら何も言わず側にいてくれる

どこに居ても

結局松陽の事を思い出す

ならば何もせずにフラフラしてても良いのでは

そう思って

私は歌舞伎町へと足を運んだ

まさか

義兄に会うとも知らないで

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