【お前の双子の兄、白雲朧が死んだ】
インターン中に私のスマホに来た電話
ガシャンっとスマホが落ちる音が響いていた
病院まで走って行った
……朧の死体は形がちゃんとは残っていなかった
母さんの泣いている声と
父さんが呆然としている姿が酷く頭に残る
葬式には沢山の人が来た
消太は私に謝ってきた
「俺が気を抜いたからだ」と
でも消太もひざしも目を真っ赤に腫らしていて
何も言えなかった
母さんも父さんも抜け殻のようで
消太もひざしも何処か欠けたようで
私がしっかりしないとと高校生ながらに思った
朧と同じ髪色だった髪を黒く染めた
朧とそっくりだと言われていた笑顔をしなくなった
親友二人の呼び方を〝消太〟〝ひざし〟から〝相澤〟〝山田〟に変えた
朧との共通点はできる限り減らした
私と朧は割とそっくりだったから
きっと皆私を通して朧を見ると
私を見ると朧を思い出すと思ったから
ヒーロー活動に影響が出るのは困るからね
私は大丈夫だ と
何とも心の中で思った
口にも出した
___私がしっかりしないと駄目だから
___大丈夫
私は…大丈夫なんだよ
ピシリと
どこからかそんな音がした気がした
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!