気がついたら裏路地に居た
人を殺さないと生きていけなかった
殺らなければ殺られる世界だった
この世にある物すべてが希少な物だった
そんなとき、一人の人間が現れた
いつも通り殺そうと思った
“今までよく頑張ったわね”
確かにそう言われた
そうだよ、頑張ったの
“一人で寂しかったでしょう?”
うん、寂しかったよ
“食べ物もちゃんと食べれずに…”
うん、何時もお腹が空いてたの
“家族に甘えたいだろうに、甘えられなくて”
家族を知らないの…ずっと
“人を殺したくないのに殺して”
人を殺す度に胸が痛かったんだよ
“もう大丈夫よ。私が居るわ”
この日、私は公安に入った
個性が個性だったからヒーロー免許もすぐ取れた
会長はとても良くしてくれた
会長が私のヒーローだと思った
だから、私は、会長に付いていく
「どこだよ…あなた。必ず探し出す…」
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!