夏油先生とは気が合う方だった
術式が同じ様なもので
呪霊の味の意見だって同じ
吐瀉物を処理した雑巾を丸呑みしているような味
気持ち悪くて気持ち悪くて堪らない
何方かが呪霊を取り込むたびに何方かが口直しを渡す
何時からか恒例行事になっていて
当たり前だった
そして何時からだろう
私が……非呪術師を嫌うようになったのは
双子の美々子と菜々子は私と夏油先生で救った
でも何処かモヤモヤしていた
何故呪術も使えない猿共を救わなければいけないのか
救う相手が呪霊を作ってるんじゃないか
そいつ等全員殺したほうがこの国は安全なんじゃないか
そう考える度に思考を停止させて考えないようにした
一般市民を守る
其れが呪術師の仕事だと自分に言い聞かせた
如何しても振り払えない日は顔を水で洗って目を覚した
こんな考え
先生にも先輩にも同期にも言える訳がない
皆呪術師で一般市民を守る側だ
こんな考え………相談できる訳無いじゃないか
こんな考え辞めないと
殺せばいい
一般市民を守るのが仕事だ
嫌な思いをしてまで?
我慢をしろ
猿の為に?
嗚呼、
辛い
苦しい
不味い
今回味を我慢してまでやるなんて嫌だ…
最強だけでいいじゃないか呪術師は
いつ終わるんだこの地獄は
5人の内の1人
次期最強
強い強いと言われた私を
誰が救うんだ
周りは上辺しか見てくれない
結局皆私の悩みには気が付かない
嗚呼恨めしい
何故皆猿の為に戦えるんだ
猿の為に命を懸けられるんだ
猿の為に死ねるんだ
分からない
分からない
分からない
もう誰かの死を見届けたくは無いんだ
______いっその事猿を
サッショブンシテシマオウカ
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。