第246話

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2021/01/10 13:32
ミツバ姉は病気だった

総悟兄は剣術を習っていた

両方金銭は掛かるわけで

でも両親は居ない

詰まり

昔から稼げるのは次女の私だけだった

昔から寝る間も惜しんで稼いで

朝は誰よりも早く起きて

二人の朝食を作って置いて

仕事に出る

それの繰り返し

まだ年齢が二桁になる前からそうだった

二人が笑ってくれるなら良いと思ってた

でも総悟はそうは行かないみたいで

私が遊んでると思ってたらしい

日に日に私を見る目が冷たくなっていくのが分かる

事実私の事情を知ってたのはあの場にいる総悟以外だった

ミツバ姉にはバレたし

他の人達にもバレた

総悟には言うなと私が頼んだ

でもさ?

総悟に

“出てけ”

“顔見せんな”

って言われるとは思わないじゃん?

確かにほぼ一日居なかった

でも私は遊んでた訳じゃない

昔から友人を作らず働いてた

二人の為に

そんな苦労も全て無になった

頑張ったのに

頑張ったのにッッ!

その日私は“沖田”を捨てた

村からも出て走った

ひたすらに

ただひたすらに

そんなとき私よりも少し髪色が薄い彼と出会った

吉田松陽って言うらしい

私が12の時に拾ってくれた彼は暖かかった

坂田銀時と言う人と同い年らしくて頑張って打ち解けた

その後はヅラと晋助が来たり

松陽先生が連れて行かれたりと色々あったけどさ

まさか歌舞伎町でまた弟に会うと思わないよね

しかもミツバや皆に私の事聞いたらしいけど

もう遅いんだ

私は沖田あなたじゃなく吉田あなた

沖田なんて知らない

残念でした…

バイバイだよ


………愛して…いました

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