キムナムジュンさん達が来て
あれから1週間が経った
医師は着々と私がこの世を立ち去っていく準備をしてくれていた
医師の口からはまだ私が2ヶ月だってことを皆に話してないらしい
私がいなくなったらこう言って置いてくださいと医師にお願いしていた
私はやっと皆の幸せの最初で最後の第1歩を踏み出せるんだ
皆はどれだけ喜んでくれるのか
ちゃんと笑ってくれるのか気になった
よくよく考えたら私の事なんて忘れているのかもしれない
それはそれでいいけどなぁ
私は初めて彼らの幸せの事を考え始めていた
前までは自分の幸せしか考えて来なかった
でも私はもういなくなるんだからせめて彼らの幸せの事を考えてあげたい
最悪の別れだったかもしれない
だけど私としては楽しい仕事だった
どうか彼らが幸せに暮らしてくれます様に
私は机に紙とペンを用意して手紙を書き始める
誰にって?
それは、ソユンさんに
「ソユンさんへ
私の父親があなたの両親を殺してしまった事は私自身が止められなくてごめんなさい。
もう少し早く私があの父親を止めていたらどんだけ貴方が楽だったのか計り知れません。
今まで私の父親に苦しめられて来た気持ちは私は充分分かります。
私を恨んでも構いません。
でも最後にもう一度言わせて下さい。
本当にご迷惑を掛けてしまって申し訳ない気持ちで私の胸はいっぱいです。
本当にすみませんでした。ごめんなさい。
佐藤あなたより」
私はこの手紙をソユンさんに渡して頂くように医師に渡した
本当に父親を止められなくて、母親の事しか考えてなくてごめんなさい
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!