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第1話

星の降る夜に。
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2018/12/10 13:49
夜の9時をまわった頃。
バイト帰りの私はふと空を見上げそのまま深い溜息をつくとイヤホンをした。
この世界から少しでも孤立したくていつもより少し大きな音で音楽を聴いた。

簡単に言えば、私は疲れてた。
学校 友達 家族 バイト色んな事が上手くいかなくて思春期のような感じの。ほら、あれだよ。

バス停に着くといつもの様にAIロボットが乗客に行き先を聞き、その人にあったバスを用意している。


AI
AI
お客様。行先はどちらで。
ハニ
ハニ
新宿で。
AI
AI
かしこまりました。今日は週末ですし、お客様の来週の運勢を占うサービスを用意しておりますがいかがでしょう?
ハニ
ハニ
あー。はいじゃあ、お願いします
AI
AI
ありがとうございます!。。。お客様の運勢は「頭上には注意!!ラッキーアイテムは星のキーホルダー!」だそうですよ!!ではお客様、良い週末を!!
ハニ
ハニ
頭上には注意、?星のキーホルダー、、。意味わかんない。
バスに乗ってもなぜかあの占いの事が頭から離れず気が付いたら家に着いていた。
ハニ
ハニ
ただいまーーー。
当たり前のようにそう呟くけど一人暮らしの私には誰もおかえりなんて言ってくれるはずがなくただただより一層私の気分を沈めていく。

今日何度目か分からない溜息を着きながらテレビを付けた。

[────今年1番の冷え込みと思われます。 次のニュースです。今日見られるという流れ星が最新の情報だと午後11時一気に何千もの流れ星を見ることが出来るとのことです。家族ずれやカップルが集まっている新潟────]


流れ星…か。いつぶりだろ、最後に見たのは、えっとー。

私はそこで考えるのをやめた。今は家族の事を考えたくない。2ヶ月前にずっと女手一つで育ててくれた母を亡くし、それからずっと家族に関する思い出には触れていなかった。

私は気を紛らわそうと冷蔵庫を開けて食べ物を探したが何もなく、更に機嫌が悪くなった。自業自得だと思ったでしょう。私もそう思う。

少し寝るか。

そう思いベッドに横になると、案外すぐ眠りに落ちた。



ジリジリジリジリ…


予めかけておいた目覚ましが容赦なく私を起こす。

相変わらずうるさいなこいつ。新しいの買おうか。

なんてくだらない事を考えているとある事に気付いた
時計を見ても夜の11時をまわっていてとっくに夜中のはずなのにやけに明るい。

あ。流れ星!

そう思い出して急いで家から出ると、夜空は流れ星で埋まっていた。

起きててよかった。目覚ましありがとう。一生あんたを使い続けるよ。

ん?ん?ん?

しばらく見ているとひときわ輝く流れ星がなぜか逆走していた。伝わって。この意味。逆走してるの。びゅんって。

そして、


ドカーン………


ハニ
ハニ
え……………。
その流れ星は家の近くの池に落ちた。

急いでその池に向かうと。あの衝撃音とは比べ物にならないぐらい辺りは静かだった。

なんだ。なんもないじゃん。

そう思い帰ろうとすると、人が近づいてきた。
テヒョン
テヒョン
ねえ君ここ何処か分かる?ついでに日付も。多分俺今世界一の迷子なんだよね。へるぷ
なんだこいつ。
ハニ
ハニ
え、ここは新宿で。えっと日付は12月8日 世界一の迷子って、え? いや待って君ずぶ濡れじゃん家きな、近いから。
テヒョン
テヒョン
え?ずぶ濡れ、?………うわ、さっっっっむ!!!死ぬ!死ぬ!無理!死ぬ!
そう騒ぐ彼を見てると自然と笑が零れた。

けど、それどころじゃなくて、ほんとに死にそうだから家に連れてくことにした。

初対面の人しかも男子を家に入れるとか馬鹿??? うん知ってる私も自分が信じられないようん。

もう一度空を見上げると、やっぱりまだ流れ星がたくさん流れていた。
ハニ
ハニ
頭上には注意。か…笑  合ってるなあのAI
テヒョン
テヒョン
ん?なんか言った?
ハニ
ハニ
いや別に。ほら早く来て。ほんとに死ぬよ
テヒョン
テヒョン
女神って呼んでいい?
ハニ
ハニ
なんでそうなった
初対面なんて事忘れるぐらい、彼は接しやすくて。久しぶりに自然と楽しいと思えた。

星の降る夜に1人の星のような少年と出会った。

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