前回のアンケートの結果、もう少し他キャラとの絡みを増やして欲しいという方が多かったので、今回はまだ現在編にしようと思います。
早く過去編に入って欲しいという方も、もう少しで入るので少々お待ち下さい。
久々に双黒の絡みを見た後、改めて敦君に就いて調べると、どうやらポートマフィアの三十五人殺しの女の子を巡って、芥君と貨物船で激闘を繰り広げていたらしい。敦君は何とか三十五人殺しの女の子を助け出し、救助に来た探偵社のおかげで窮地を脱したようだが、芥君の方は可也の大怪我を負ったとか。
以前袋小路で見た時は、自分の異能力を使う事すら躊躇っていたようだったのに。
恐ろしい位の成長速度だ。若しかしたら、近い内に組合の団長__フランシス・フィッツジェラルドとも戦えるようになるかも知れない。まあ、その作戦に失敗しても、本命の作戦があるから特に問題はないのだが。
ギンッッ!!!
妙な音が耳に届いた。音のした方を探り当てると、そこには__
宙を舞う大型の自動車、投げ倒されて山のように積まれていくガタイのいい男多数、標識を軽々と振り回している少年、そしてそれを見てあんぐりとしている敦君の姿があった。
何この状況。
偶然、敦君と目が合った。
敦君が駆け足でこちらに近付いて来た。
『綺麗』、ね…
しかしまあ、真逆憶えられていたとは。流石に予想外だった。
本来なら探偵社と関わりを持つのはあまり好い事ではないが、敦君は軽めに説得しておけば、きっと口外はしないだろう。それに、今の内に標的の内部情報を探れる事は、この上ない好機だ。
敦君の後方を指指す。
其処には、山積みになった男達と、何かに握り潰されたような跡が残った自動車、満足気に微笑んでいる私より年下であろう少年が在った。
敦君が慌てて説明する。成る程、迷惑事に巻き込まれている訳じゃなかったのか。
あの後、敦君とは一旦別れ、男の子を牛丼屋に連れて行った。
今は、その近くの喫茶店で敦と向かい合った状態でお茶をしている。
敦君に年齢を訊かれたので、有りの侭を話すと、この通り声を上げて驚かれた。
…太宰か…。
命の恩人…?感謝…?太宰に?
拙い、この侭だときっとボロが出る。
椅子から立ち上がり、急いで店の外へ出た。
大して動いてもいないのに、息が上がっている事に暫く経ってから気が付いた。
____『命の恩人で、感謝してもしきれない位なんです』___
彼奴は、私の『兄』を見殺しにしたんだから__!!!
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!