袋小路での戦闘を影で拝見した私が次に向かったのは、このヨコハマでの任務の内に拠点となる『死の家の鼠』の屋敷だ。
屋敷は広い雑木林の奥のまた奥にひっそりと佇んでいる。屋敷の扉を開けて、隠し仕掛けの地下階段を降りて行く。
地下階段を降りきった目の前に従事長のイワンが立っていた。
先ずは…白虎の事に就いて報告しなければ。
イワンにドス君の自室へ案内させる。その部屋は屋敷の一番奥にあった。
イワンが扉を三回ノックする。
「入りなさい」と扉の向こう側から声がする。
部屋に入ると、ドス君は中央にある執務机の椅子に座って大量の書類と睨めっこをしていた。私が声をかけると、椅子を回転させゆっくりと私の方を向いた。
そこから、袋小路でのポートマフィア構成員との戦闘、太宰が乱入して来た事を事細かに伝えた。
私が問うた途端、ドス君は少し面食らったような顔をした。その表情に合点がいく。
ドス君の顔は固まったまま。しかし、直ぐに表情を和らげ、何時もの感情の読みにくい笑みに戻った。
矢っ張り、凡てドス君の計画通り。私があの「うずまき」と云う喫茶店に入店する事も、そこで探偵社の社員達と出会し尾行する事も、七十億の懸賞金を狙ってポートマフィアが襲って来る事も、それによって必然的に私に白虎の少年を目撃する事も凡て。流石は魔人、と云った処か。
かの魔人は、私が云った事に対して不敵に笑う。
********あとがき********
ここからの繋げ方が全く思い付かなかったのでここで切ります。
今回までの話の中でのドス君とあなたちゃんの会話を読んで、「いやどこが師弟関係だったり親代わりだったりやねん」とか思った人もいると思います。確かに、そう言われればそうです、としか言えないんですけど。私が思うドス君って、本当に信頼している相手には何も言わないと思うんですよ(主の勝手な偏見紛いなイメージです)。双黒(あの二人はもう熟年夫婦。あ、腐とかそういうのじゃないよ☆)みたいにお互いに険悪さ醸し出しておきながら信頼感半端ないとかそういうのと同じです。私もうそういう言葉にしない信頼的なのめっちゃ好きなんです。はい。それだけです。すみません。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!