僕にはじめてを沢山くれたテヒョン。
愛してる人とする甘いキスも
夜の営みも
全部が全部僕の初めてで。
-でも僕は今からテヒョンに振られに行く。
テヒョンと最後にキスをしたのはいつだろう。
テヒョンと最後に手を繋いだのはいつだろう。
もう何ヶ月も前の話しだ。
あんなに愛し合ってたのに。
今日久しぶりにテヒョンに部屋へ呼ばれた。
分かってるよ、別れ話だよね
テヒョンにはきっと今、別に想ってる人がいるんだよね。
僕はテヒョンの笑ってる顔が好きだよ。
テヒョンの幸せそうな顔を見るのが好きだよ。
その顔を僕が作れないのなら僕はちゃんと手を引く。
どんな話をされてもちゃんと泣かないで
笑って「今までありがとう」って言うよ。
テヒョンの部屋の前に立ち扉をゆっくり叩いた。
テヒョンがゆっくりと扉を開けてくれた。
前髪で目元が隠れている。
髭が少し生えてて服はトレーナーで気だるげ。
こういう所も愛してる。
笑え。笑え僕。
随分と直球だね
玄関で言わなくてもいいじゃん
ほら、「分かった」って「今までありがとう」って言え…
早く言え僕
…なんで口が動かないの?
なんで涙が出てくるの?
そんなこと言うな。
何を言ってるの僕は
こんなこと言う予定じゃなかったのに。
理由なんて、愛がなくなった以外にないじゃん。
なんでわざわざ僕は自分を傷つけようとするの?
テヒョンは俯きながら顔を横に振った。
そういうところが嫌いだった。
嫌いで
嫌いで
大嫌いで
大好きだった。
僕は部屋を勢いよく出た。
でも扉の前で足を止めた。
振られたのに、迎えに来てくれるんじゃないかって
どこかで期待して
ジョングクが僕を強く抱き締めてくれた。
そして肩を支えられ僕の部屋に戻った。
ジョングクは今週末の僕の予定だけを奪って部屋から出ていった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!