第5話
another story
あれから私は仕事に行くビョリを見送って、部屋で休んでいた。
私はというと、既にソロでカムバして活動が終わっているのでしばらくはこうして休むなり自分のチャンネルの撮影に出向く感じ。
正確には休みではないけど…でもアルバム準備期間ほどめちゃくちゃに忙しい訳ではないからこうして羽を伸ばすことは出来るかな。
そんな私の元に一件の通知がきた。
ピロン♪
「今日も絶好調だねㅋㅋㅋ」
「ムンサン信者だけど、この2人もまた良い〜」
「コメントがもう、オタクのそれやん笑」
こっそりビョリの公式instagramを覗いてみると、まず目に入るのは…
自己紹介欄に、しっかりとビョリ王子と表記されていたのが嬉しかった。
これで公言はしなくとも、マーキングになるからね…ビョリのことは絶対誰にも渡さないんだから!
昨日の会話を思い出すと、不意に笑顔が溢れる。
だめだだめだ、やめよう考えるのは。
いい年こいて自室で1人で思い出し笑いは何が何でもさすがに…ね。自分でも引いちゃうわ笑
私はビョリの公式アカウントを下にスクロールして、通知が鳴り止まなかった例の投稿を見た。
どれどれ…お、ビョリがピンクなんてなかなか見ないな。
かわいいじゃん。
でもいつも通り、なんの変哲もない投稿じゃない。何がおかしくてみんなは騒いでるんだろう?
そう思ってコメント欄を覗くと…
へぇ…なるほどね
コメントが完全にオタクのそれじゃない。笑
個人的には面白いけど…なんだろう
この胸がざわめく感じ。落ち着かないわ。
何かが腑に落ちないの。
いつもは私とビョリの2人のことで話題が盛り上がるコメント欄なのに
私の居場所にフィインがいるの。
ううん、フィインのことは好きだよ。
違うの
ビョリの隣は私じゃなきゃ嫌なの。
例え相手がフィインであろうと、そこは本来私がいるべき立場だから…こればかりは譲れないわ。
ビョリもビョリで、なによ。
2人が仕事で一緒になってるから仕方ないのは承知の上だけど
こんなにべったりすることないじゃん。
私がいなくて身代わりを探してると考えたらそうかもしれないけど、
私からしたら私の代わりが存在するなんて、そんなの嫌だよ
心に溜まった鬱憤と、私らしくもない悪魔の囁きが頭の中を駆け巡る。
ビョリの元へ…