君に出会ったあの日を
私は今でも 鮮明 に 覚えてる 。
俺は 桃瀬 さとみ .
中学1年生 .
『 静かにしてればイケメン 』
なんて 多くの人から言われる
いわゆる 残念イケメン らしい .
そんな俺は
中学生の時
運命的な出会いをした .
陸上部 .
ま ,適当に 入って 適当に 部活して 適当に 勉強して …
なんて 思ってた .
… 君と出会うまでは .
さ 『 陸上部 に 入部した
1年の 桃瀬 さとみ です .』
イケメン .
なんて言われるほど
まぁ , カッコイイ . らしい .
まさか …
こう思われるなんて
思ってもいなかった .
さ 『 … は ?? 』
そう君は …
俺の事を初対面で
「 ちゃん 」 付け
してきたんだよ .
その時
初めて気付いた
女顔 .
声変わり は まだ .
女の子っぽい 名前 .
俺は 女っぽいということに … .
それを 初めて 指摘されたのが きみ … .
だった .
まぁ 当時の俺は 当然 イラッときたわけで .
さ 『 分かりました
なんでも言いますね ♡ 』
当時の俺は
騙して遊んだろ .
とか 思ってたんだよね .
… けど 聞いちゃったんだ
君が 部室で 独り言を言ってるのを .
さ 『 … 』
ガッツポーズ なんて しちゃってさ .
聞こえてんだよ . アホ先輩 .
そんなこんなで
部活にも 慣れてきた俺 .
ピーーーーー
「 今日はここまで ~ ッ
1年は ハードル の 片付けやっとけ ーーー 」
片付けね …
これを 体育倉庫に 運べばいいのか .
両手に ハードル を持つ .
… 体育倉庫 に 向かっていると ,
見えたのは 君の姿だった .
さ『 … あなた先輩 ~ ! 』
ほら 君は
俺の事女の子と思ってる訳ですし
高い声を出して 話しかける
そりゃそうだ .
俺男だし (
片手に2個ずつ .
ま , 女子にしては 沢山持ってるのか … .
さ 『 でも … ちょっと持ちすぎちゃったみたいです .
やっぱ 女の子 の 私には 重たくて …
あなた先輩 , 代わりに運んでくれません ?
なんでも言ってって 言いましたよね ?』
フッ , これで俺の仕事は 先輩 がやってくれるから 終わりだ …
なんて思ってた
そうなるはずだったのに
君 が アホなせいで .
そう言い出した瞬間
君は 俺の持っていた ハードル を 全て 持っていき , 片手に4個ずつ ,
いきなり 持ち出す.
… あほか .
そう思う暇もなく ,
あなた先輩は 重さにやられ
そのまま 足をひねらせ 倒れる .
… そこまで は いいんだけど …
いや良くないけど …
なんで 俺が 君を 運ぶはめになってんだよ …
何, マジ 頭おかしいの ??
いきなり 女の子 が 8個も ハードル 持って .
馬鹿じゃな…
って , 何
女の子
なんて 言ってんだろ .
あんなの 女子力 の 欠片 も ない , ただの 先輩だし … .
俺の方が女子力あるわ ((
結局その日は
俺が 君を 保健室に 運んだんだよ .
おんぶで .
… 覚えてる ??
って , おんぶされながら言ってたっけ .
さ 『 気にしないでくださ~ い . 』
… チッ .
それもこれも …
あなた先輩 が バカ なせいだよ …
後日。
「 あ , 桃瀬 .
グラウンドの 水撒き お願いしてもいいか ?? 」
… 俺ですか .
さ 『 あ , は ~ い 』
どこからやろう …
てか ホース どこだし .
今日寒いのに 嫌だわ …
…ん?
あれ …
あなた先輩 … ??
さ 『 … あなた先輩 ? 』
君は 水撒き を していた .
グラウンドの .
任されたのは俺なのに …
なんで …
… きっと頼まれてないのに
君は 自主的に やっていたんだ .
… そーゆーとこ …ほんと …
多分 ,
この頃からだったんだろうな … .
てか そうだ …
なに 見てんだよ俺 .
フッ …
こき使ってやろ .
さ 『あの その事なんですけど ~ …
私 … , 冷え性なので 水とかいじりたくなくてぇ ~
あなた先輩 , やっといてくれません ??』
うるっ と 目を 輝かせ ,
ちゃっかり 上目遣い をする
なんて あっさり OK をして ,
ぐいっと ホースを 持っていく .
… この人 , 簡単に詐欺とか 合いそうだな …
なんて 思っていた次の瞬間だった
ブシュァァア !!!
!?
ホース は 途中で 石に ぶつかったらしく ,
プツン と 一部分 が 切れる .
すると 瞬く間に 水が弾け飛ぶ .
あなた先輩に … 的中した .
さ 『 … え … ッ 』
ポタ…
ポタ…
ほんっと ポンコツ .
はぁ
なんて溜め息を着くと
君は 一目散に こう言い放った .
… 驚いた .
なにそれ
なんで 俺の心配してんだよ
自分の心配 だろ まず .
ほんとに … あほ … .
!?
返答する間に ,
俺は 見てしまった .
あなた先輩
下着透けてるし !!!!
バサッ
さ 『 着てください . 』
そんなん見たの …
初めてで …
その時の俺には
刺激が強すぎた w
君は 何も分からないような顔をして 上着を受け取る .
… うるさい .
なんでだ…
か弱い女のフリして
色々 押し付けようと思ったのに .
全然 上手くいかない …
君が
先輩のくせに ポンコツ すぎるせいだって .
今なら 十分 分かる .
… かっこつけてるくせに .
ギクッッッ
え , ば バレて … !?
ドキッ …
さ 『 … ッ , 』
なにも
言えなかった .
俺が男だって
バレそうになったからじゃない .
何故かわかんない
胸が ドキドキ した .
初めての感覚だった .
今まで感じたことない …
さ 『 … あなた先輩 … おれ … ! 』
「 あ ~ , いたいた .
桃瀬 さとみ . 」
… え?
2人で 振り向くと
そこには 3年の男子
3… 4人 ? だったかな .
立ってたんだよな .
「 てめ ー 人の 女に
手出してんじゃねぇよ ! 」
とか言ってたっけ .
知るか .
だが 相手は 3年 .
話が通じるような 人 じゃなかった .
さ 『 …はい ??
なんのことですか ? 』
勿論 その話に 身に覚えは一切なかった .
けど 覚えていたのは
君の反応 .
びっくりして
肩が跳ね上がって .
かっこつけてるくせに
ビビって 急に 後ろに下がりだして .
「 とぼけてんじゃねぇよ!!
ちょっと女子に 騒がれてるからって
調子に乗りやがって !!! 」
… .
ガタガタ 震えて .
ただの 3年生ごときに .
ポンコツ な上 ビビり .
ほんと , 全く 魅力を 感じない .
さ 『 … 先輩 こんなヤツら
相手にしなくていーですよ . 』
そういった途端 .
俺は 胸倉 を 捕まれ ,
ひんむいた 目付きで 睨まれた .
「 んだとオルァ!!! 」
… はぁ .
あなた先輩逃げて … .
と 薄々言おうとして
君の方を 向く .
その時は
もう
遅かった .
バキィ!!!!
… え?
… 涙目で
さっきまで 震えてた
あなた先輩は
気づいたら 俺の目の前で
3年 の 男子を 殴っていた .
俺が 胸倉 を 掴まれた瞬間 .
覚醒するかのように
放った一言 .
ほら2度目 .
胸が締め付けられる
感覚に陥った .
ま , それよりも
その時は 驚きの方が 大きかったが .
まぁ , 2年の女子 の 殴りで 諦める 3年男子 では なく .
すぐに 男子は あなた先輩を 押し倒す .
「 いってぇなぁ!!! 」
… 俺は
驚きとともに 見ていることしか出来なかった .
押し返すあなた先輩 .
3年も
「おわっ」
なんて 声を漏らして 倒れる .
俺から見れば本当に
泥仕合だった .
「っこの … !!!」
3年 は 思い切り 手を振りあげる .
…
3年男子が 2年女子に 平手打ちかよ .
…さすがに
それを 見てるだけ が 出来るほど
俺は 女の子ではなかった .
ドカッ !!!
これでも ,
男です .
俺は 散々
3年男子 を ボコボコ にしたっけ .
「 いたい 」
とか
「 やめろ !!! 」
なんて
涙目で 言ってたっけ .
3年男子 が 1年男子に そんなこと 言うなんて
かっこ悪 .
… 最後にこれだけ
伝えてやるよ .
グイッ
俺は 3年男子の 胸倉 を 掴むと ,
ほんとに 小声でね
君に聞こえない程度に
さ 『 次あの人に なんかしたら ぶっ殺す から 』
そう放った .
したら 3年男子 は
懲りて 帰っていったんだっけな .
懐かしいわ .
まぁ ,
これで あなた先輩 にも
俺が 女ではないこと
やっと分かってくれた .
さ 『 …あは , バレちゃった .』
さ 『 … 。』
… そうだ …
この先輩 … アホなんだ …
さ 『 ってな訳ですよ ~
覚えてますか?? あなた先輩 』
さ 『 ふ … 懐かしいわ w
あの時は ビックリしましたよ …
世の中に こんっっな アホな先輩が いるんだって … ! 』
俺はいつもの通り
君を 馬鹿にする 発言をする
★ 本当の敵は さとみクン だった ★
回想
さ 『 ば ~ か 男でした ~』
貴方 『 はぁぁ !?!? 』
さ『… かっこよかったですよ .
あの時だけは .』
あなた先輩 の 発言を聞いて
自然と口から 出た 言葉だった .
… 本当のこと .
ま , 一生言ってやらないけど .
… .
嘘つき ね … .
俺は 満を持して 聞く .
さ 『 ねぇ あなた先輩 .』
こっち を みる あなた先輩 .
… ほんとバカ。
さ 『 … 俺の事
まだ 女の子に見える ? 』
全然可愛くない
と 付け足して 言う .
… へぇ
男子にしか見えない . ね …
“ 私
さとみちゃん が 男の子だったら
絶対好きになっちゃう ! ”
( ポソッ
さ 『 … 全然 好きになってくんないじゃん .』
さ 『 … やっぱ あなた先輩のほーが 嘘つき ですよ .』
ここまで言っても
わかんない顔して .
とぼけた顔して .
… 絶対 俺
好きにさせてみせるから .
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。