第5話

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2021/10/10 15:33
罪悪感がなかったわけではない
まだ幼いあなたは俺達に話しかけてきてはいたんだ
俺達があなたを離すためにどんな酷い言葉を言ってもあなたは泣きそうな顔をして「ごめんね…」と言うだけ
小学校高学年になるまで嫌われなかっただけいい方
分かっては居る
両面 志麻
両面 志麻
俺な、まだ頭から離れへんねん
泣きそうなあなたの顔も
夢に出てきた時のあなたの声も
急に変わった時のあなたの全てを諦めた顔も
俺は何をしてたんやろって思って、もう手遅れな所まで来てもうた
兄貴失格やろ…こんなん
志麻だって、悩んでる
両面 千羅
両面 千羅
俺だってそうやで
部屋近かったからまだ小学校低学年の時に泣いてたあなたの声が、嗚咽がまだ耳に残ってる
俺はそれを気が付かないふりして布団を頭まで被って寝てた
あなたのSOSを無視したんは俺や
千羅だって悩んでる
両面 明
両面 明
俺はあなたが悩んでるのを知っとった
渉兄さんが冷たく接し始めた時のあなたの寂しそうな顔も、志麻兄さんがあなたをぞんざいに扱い始めた時の辛そうな顔も、千羅兄さんがあなたを居ないものとして扱い始めたときの苦しそうな顔も知ってた
渉兄さんが冷たく接し始めた時あなたが「私が何かしちゃったのか」、志麻兄さんがぞんざいに扱い始めた時あなたが「私の事嫌いになっちゃったのか」、千羅兄さんが居ないものとして扱い始めた時あなたが「私はいないほうがいいのか」
そう言ってたのを知ってた
それなのに俺も同じことをしてもうた
トリガーは俺や
明も………
渉
俺は、あなたに冷たく接し始めた時ヤバイと思った
それでも制御出来ないでずっと続いた
誤りたくてもまた仲良くしたくてもそれが言えなくて、何時の間にかあなたは俺と話してくれなくなってた
………皆悩んでる
皆後悔してる
でも、始めたのは俺だ
始めたのは俺、原因も俺だろ…こんなん
ただ仲良がいい5人兄妹でいたかったのに
それももう叶わないかもしれない
そう思うだけで胸が痛む
ごめんな、あなた

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