「海人くんと登校しないで」
と言われた次の日、何も言わないでちょっと早起きして玄樹にも海人にも会わないよう初めて1人で登校した朝。
いつもは短く感じる駅までの道のりは2倍長く感じた。
満員電車ではいつも海人に当たり前のようにドア側へ誘導されてたことを初めて知った。
案の定1人で登校してからは美樹と廉に「喧嘩でもしたの?!」と問い詰められた。
けどあの子の視線が気になって何も言えなかった。
海人はその日、話しかけてこなかった。
(海人side)
普段と何も変わらないいつも通りの朝。
玄樹とあなたを迎えに隣の家へ向かうと
あなたとは幼稚園から今までずっと一緒。
少なくとも高校に入ってからあなたとは毎日一緒に登校してた。
本当に思い当たることが何も無い。
あなたは、理由も無く突然無視したりする人じゃない。
これはなにか理由がある、とずっと考えてたら気付いたら放課後だった。
モヤモヤしたまま、部活へ向かった。
(あなたside)
なんとなく海人を避けてしまった。
海人の悲しそうな顔を見ると、思わず話しかけそうになったけどあの子の視線が気になって……
海人と話さないのってこんなに辛いんだ……
美樹は私の気持ちを汲み取ってくれてそれ以上は聞かないでくれた。
部活では、必要最低限な会話以外しなかった。
こんなに周りに迷惑かけて……
寧ろ海人に今まで通り話しかけて、私がいじめられていた方がいいんじゃないかって思ったり。
てか、私がいじめられたらお兄ちゃんと勇太が黙ってないよね。
でも勉強がやばいお兄ちゃんにこれ以上迷惑かけたくなくて……
でも心做しかいつもより元気の無い海人を見ていると涙が出てきそうになって…
部活終わりは
私が一方的に避けているのに、どうしてそこまで海人は優しいの……?
思わず泣いてしまった。
チラッと横を見たらあの子と海人は二人で駅へと向かっていった。
勘がいい廉にはバレてしまってすべてを話すことになった。
今日は
いつもなら嬉しいはずの平野先輩のシュートも
美樹の惚気も
全く嬉しくなかった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。